t9.30「追悼・山崎豊子さん」
2013-10-01 Tue 13:33
今日、明け方、きれいな朝焼けだった。......
昨日、堺市の市長選挙も終わり、
堺市が新たな船出をした――その日の未明、
堺市在住の文豪・山崎豊子さんが亡くなった。
享年、88歳。――
驚きのあまり言葉が出ない。
*
8月から週刊新潮に「約束の海」の連載が
始まり、毎週ワクワクして読んでいた
ところだった。
胸が詰まる。......
*
山崎豊子さんは、学生時代から
愛して止まぬ作家の一人で、
今、文豪と言える人は
この人しかいないと思う。......
かつて、学生寮のベッドで朝から晩まで、
「白い巨塔」を読み続けたことが懐かしい。
長丁場の小説を、息をつかせぬ展開で
社会の不条理をあばいて尚、
感動をもたらす――その筆力は、
まさに「文豪」のそれだ。
*
その時代、松本清張も次々と力作を世に
送り出し、「砂の器」などの名作を生んだ。
私は、週刊朝日の連載を読み耽った。
山崎豊子さんと同じように、
社会の不条理をえぐることをモチーフとし、
ヒューマンなドラマを創り上げた。
彼もまた、同時代を生きた文豪だ。......
そして、もう一人の文豪が亡くなった。
この空虚感。――
*
社会と相対峙する愛すべき人間。
それら様々な人間が織りなす――
ドラマを社会の不条理の中で展開させる
山崎豊子さんの小説に、大いなる敬意と共に、
想像を絶するその労苦に感謝したい。......
*
連載中の小説「約束の海」を、
20回分書き上げての死。
かつて、週刊新潮の名編集長が、
山崎豊子さんに言った言葉――
「芸術家に引退はない。書きながら柩に
入るのが作家だ」。......
その言葉通り、山崎豊子さんは、
ペンを持ったまま亡くなった。
*
作家として、人として、
最高に生きた人だと思う。
合掌。――悲し。
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