t≪子どもの悩みに寄り添いながら≫
2014年01月15日23:30
≪子どもの悩みに寄り添いながら≫
私が尊敬する児童文学作家で教育評論家でもあられる漆原智良先生が、2012年一年間の予定で公明新聞に「子育て時評」を掲載されましたが、嬉しいことに今年も引き続き2013年も掲載していただいています。
そして今回、2013年12月29日付の公明新聞に投稿された≪子どもの悩みに寄り添いながら≫が最終回の掲載となりましたので、ご紹介します。
【子育て時評】
児童文学作家・教育評論家 漆原智良
≪どもの悩みに寄り添いながら≫
2013年もあと3日で幕を閉じる。悲しいかな、今年も子どもを取り巻く状況は劣悪であった。いじめによる自殺、体罰、交通事故、幼児への虐待・・・・・。もし、この世に「心の救急車」があったなら、子どもたちは、すぐにでも呼びたいところだろう。
おとなは「子どもに向かって、自分は何ができるだろうか?」と、それぞれが、己ができる範囲でよいから「心の救急車」になってもらいたい。110番駆け込みの家、交通安全の旗振り、読み聞かせや映画上映会活動・・・・・・など、そこから、子どもの悩みを発見し、その心に寄り添うことができると思うからだ。
私ごとで恐縮だが、小学校の先生方に「いま、先生自身や児童が悩んでいることは何でしょうか?」と問い合わせてみた。すると「いじめ、交通安全、不審者、体格差、学習障害、花粉症、アトピー(給食)、携帯電話・・・・・・」など、多くの問題が寄せられた。
私たち作家にできることと言えば、仲間と一緒になって「提供された問題を童話風にまとめ、それぞれの物語の巻末に解決策を掲載することだ。それは同時に、小さな心の救急車の役目をはたすのではなかろうか」と考えた。
こうして、命の尊厳をベースにした『心といのちを守る童話集・ぼくたちの勇気』(漆原智良編著・国土社刊・第1巻11月発行)が誕生した。柱は「君たちよ、一人で苦しむことはないのだよ。悩みをぶつけてください。みんなで考えようよ」という願いであった。
本のPRになってしまったが、本稿が最終回ということでお許しください。
良いお年をお迎えください。また、お会いできる日を願って・・・・・・。
(おわり)
===漆原智良先生、本当にありがとうございました。心から感謝申し上げます。===
ここで、2012年1月15日に掲載されました第1回≪動物園が子どもたちの通学路に≫を再掲させていただきます。
【子育て時評】
児童文学作家・教育評論家 漆原智良
≪動物園が子どもたちの通学路に≫
私の家の隣はかわいい羽村動物公園。パンダやカバなどの人気者はいないが、愛らしいサルや、コブタ、キリンたちがいる。アイデア園長さんは「童話の動物園」作りを考えた。ウサギとカメ、三匹のコブタ、サルカニ合戦などの童話の部屋が完成した。「三匹のコブタの部屋」のオオカミだけは木材で作られた。
地域住民からも「子どもたちが動物園を迂回して通学するよりは、動物の元気な顔を見せてはどうか」との声。園長さんは大賛成。「動物園内を通学路」にするには教育委員会、学校長の承認のほかに、PTAや先生方の協力も必要だ。多くの人の心が一体とならなければ実現できない。
ところが「児童のためなら・・・」と、すべての方がOK。こうして、一昨年秋から、日本初の「動物公園内通学路」が実現したのだ。
子どもたちは、動物園の正面入口で、先生や地域の人にあいさつし、動物たちに声を掛けながら東門から出ていく。目の前は小学校だ。
校長先生に成果をたずねると、うれしい言葉が跳ね返ってきた。①児童の朝の顔から様子がわかる②若い先生方と地域の方との交流が深まった③児童が園内の四季の変化に気付いてくれるようになった④児童と地域の人々のあいさつや触れ合い(じゃんけんごっこなど)が活発になった⑤登校時間が早くなった⑥不登校気味だった児童が、動物が見られるのでイキイキと登校するようになったーーー。
教育とは理屈ではない。新鮮なアイデアと、「良いことは実現させよう」という<即決断力>が、子どもの笑顔を生み出す源泉なのである。
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