t環境対策特別委員会行政視察報告
2014年 2月 9日
1月30日(木)~31(金)にかけて、環境対策特別委員20名【新田委員長】で行政視察を実施、福岡県福岡市の福岡市議会と福岡県北九州市の九州大学を訪問し、公明党大阪市会議員団からは、前田委員・石原委員・西崎委員・西委員の4名が参加させて頂きました。
以下、下記のとおり概要報告いたします。
◎ 第1日目【1月30日(木)】
《博多湾洋上浮き島式エネルギーファームにて現地視察》
1 13:30~14:45 洋上浮き島式エネルギーファーム博多湾プロジェクトの現地視察
《九州大学応用力学研究所にて説明聴取》
2 15:45~17:30 九州大学応用力学研究所長より「九州大学発洋上浮き島式エネルギーファームの開発」について説明を受けた。
(1)九州大学発洋上浮き島式エネルギーファームの開発
① 再生可能エネルギーの有効利用の必要性
② 日本の水域を利用した浮体式複合発電ファームの実現
③ ステージⅠ
ア 2011年 3月 九州大学応用力学研究所にある大型造波水槽において模型を使った波浪・強風に対する浮体の挙動を調べる実験を挙行
イ 2011年12月 博多湾に3kw風車2基を設置した直径18mの六角形中抜き(蜂の巣型)浮体を浮かべた
④ ステージⅡ
ア 玄界灘に100m旧の大型浮体を連結した本格的な洋上浮体複合発電ファームの建設を計画
イ 300kw旧の中型レンズ風車を設置
⑤ ステージⅢ
さらに大規模なレンズ風車(1~5Mw級)を備えた洋上ファームを設置
(2)レンズ風車(レンズ水車)-小型数kwから中型数百kw機―
① 風レンズ形状の進化
ア 風車の大型化に際しての問題点
・ 大きな集風体重量とそのコスト
・ 集風体の受ける風荷量
イ コンパクト化
・ ツバの高さが低い構造
・ 従来風車の2倍以上の高出力が可能
② 100kw中型レンズ風車建設
2011年3月に九州大学伊那キャンパスにおいて2基の100kwレンズ風車(ロータ直径12.8m、レンズ直径15.4m)が建設
◎ 第2日目【1月31日(金)】
《アジア低炭素化センターにて説明聴取》
1 10:15~11:15 アジア低炭素化センター特区プロジェクト担当課長より「北九州モデルを活用した都市環境インフラビジネス推進事業」について説明を受けた。
(1) 北九州市の地勢的ポテンシャル
アジアに近く、ものづくりの街として発展、自然も豊か
(2)北九州市の環境対策
① 1901年官営八幡製鉄所操業
② 1950年代...公害問題深刻化→婦人会の公害対策運動
市の取組み→公害対策局設置、公害防止条例制定、企業その公害防止協定締結
企業の取組み→生産工程改善、汚染物質除去処理施設、工場緑化、低公害型生産
③ 1960年代~ 公害対策施策
④ 1980年代 KITA設立
地方外交政策、循環型社会形成政策、持続可能な社会形成施策
低炭素社会形成政策・自然共生形成政策、地域と地球の環境創造
(3)環境国際協力の展開
・ 共同繁栄に向けたアジアとのパートナーシップ
(4) アジア低炭素化センター開設
① 2010年6月 開設
② アジア低炭素化センターの目指すもの
北九州市、日本の閑居う技術を集約し、環境ビジネスの手法でアジアの低炭素化を推進
(5)技術輸出の重点分野
・ グリーンアジア国際戦略総合特区
エネルギーマネージメント、水マネージメント、リサイクル・廃棄物処理、クリーナー・プロダックション及び汚染防止
(6) 関連機関との協力関係の構築
① 独立行政法人国際協力機構(JICA)
② 国際協力銀行(JBIC)
③ 九州地域環境リサイクル産業交流プラザ
④ 国連工業開発機構(UNIDO)
⑤ 北京環境交易所
⑥ タイ工業省工場局
(7)各種プロジェクトの展開
① 中小企業アジア環境ビジネス展開支援事業
② カンボジアにおける上水道整備事業
③ FS調査及び事業化
(8)中小企業環境ビジネス展開支援事業
・ 海外での実証試験等に助成する北九州市の制度→低炭素に資する技術・製品を保有する市内中小企業が、アジア等海外でのビジネス展開をめざし、現地で実証試験をするための費用の一部を助成する制度(2011年度新設)
(9)インドにおける家電リサイクル事業
・ 日本磁力選鉱(株)→レアメタル回収のリサイクル企業
→インドからバーゼル条約に基づく世界初の輸入
初年度200t(売上高1億数千万円)、次年度以降年間600tの輸入目指す
(10)天津市における廃自動車リサイクル事業
・ 九州メタル産業(株)→廃自動車100%マテリアルリサイクル企業
(11)スラバヤ工業団地コジェネ&省エネ事業
・ 新日鐵住金エンジニアリング(株)、富士電気(株)等
→北九州スマートコミュニティ創業事業の海外転出第1号を目指す
(12)スラバヤ市リサイクル型廃棄物中間処理事業
・ (株)西原商事→外務省「政府開発援助海外経済協力事業委託費による途上国政府への普及事業」(2012年度)、JICA「民間提案型普及・実証事業」(2013年11月~)
(13)ベトナムへの高度浄水システム(U―BCF)の輸出
① 第1ステップ→JICA草の根技術協力事業(平成22~24年度)
② 第2ステップ→小規模浄水場へ導入
③ 第3ステップ→主力浄水場へ導入
・ ベトナム国内・東南アジア諸国へ拡大
・ 北九州市の高度処理(U―BCF)の海外ビジネス展開
(14)「グリーンシティ輸出のための北九州モデル」構築
① 本市の都市環境行政のノウハウ等を体系的に整理した「北九州モデル」を策定
② 「北九州モデル」を活用し、新興国のニーズに合わせた持続可能な都市づくりのマスタープランを提案し、グリーンシティ(環境配慮型都市)の輸出を推進
③ 「北九州モデル」の活用
課題→調査・計画→事業化検討→事業化→グリーンシティ 《チーム北九州》
④ 期待される効果
ア 海外都市のメリット
・
北九州市のノウハウを共有し、技術的支援を受けることができる
・ 自らが各都市の状況に応じた実現性の高い計画を策定できる
・ 全ての関係者が情報、ビジョン、具体策、成果等を明確にできる
イ 北九州市のメリット
・ マスタープラン策定の段階から参画することで様々なビジネスチャンスが生まれる
・ 都市環境インフラの海外展開に関する情報・人・技術が国内外から集積する
(15)グリーンシティの輸出(スラバヤ市の事例)
① ソーシャル・マスタープランの策定
社会システムの形成・まちづくり人材の育成→総合まちづくり計画
② 成長の源泉である基盤力強化(行政力・市民力・技術力)
北九州市 ⇔ スラバヤ市 ...・・・都市間連携
③ グリーンシティ輸出
産業廃棄物処理⇔環境姉妹都市締結⇔排水処理(下水道整備)⇔水道水の浄化⇔太陽光発電・小型脱塩浄水装置による飲用水供給事業
(16)成長する北九州モデル(Win-Win関係)
北九州モデル ⇔ インドネシ・アスラバヤ市...スラバヤモデル
⇔ タイ・エコインダストリータウン...エコインダストリーモデル
⇔ ベトナム・ハイフォン市...ハイフォンモデル
→アジアのグリーン成長モデル
2 質疑
Q 自治体としてこうした事業を実施してくメリットは
A 自治体の協力なしに海外展開できない中小企業を支援するためであり、行政同市のつながりを深めることによって企業の海外展開をしやすくすることになることが本市のメリットと考えている
Q この部門にかかる職員・予算規模は
A 一般会計予算500億円のうち2億5千万が直接経費として計上、占める割合としては、決して低いとはいえない
直接事業に携わる職員は6名、当センターに20名、他に貿易や経済担当の関係職員等も含めると、かなりの職員が本施策に関係している
3 11:20~11:30 アジア低炭素化センター内見学
《北九州市環境ミュージアムにて説明聴取・現地視察》
4 13:30~14:30 北九州市環境ミュージアム館長より館内等の説明と案内を受けた
(1)館内展示コーナーの内容説明・館内見学
① プロローグ(北九州市の風景がお出迎え)
北九州市の豊かな自然を写真や映像で紹介
② 第1ゾーン(北九州市の変遷)
工業都市・北九州市の歴史を写真と工業製品で紹介
③ 第2ゾーン(公害克服の歴史)
北九州市が培った公害克服のノウハウは世界環境改善に役立っている
④ 第3ゾーン(地球環境とわたしたち)
地球全体の環境問題を体験型の展示で紹介
⑤ 第4ゾーン(環境技術とエコライフ)
「3R」について紹介、資源循環型社会へのヒントを展示
⑥ 第5ゾーン(北九州市環境未来都市)
北九州市の先進的な取り組みや市民・企業の環境活動を紹介
(2)エコハウスの内容説明・館内見学
① 環境基本性能の確保
ア 断熱
イ 気密
ウ 日射遮蔽
エ 日射導入
オ 蓄熱
カ 通風
キ 換気
ク 自然素材
② 自然・再生可能エネルギー活用
③ エコライフスタイルと住まい方
◎ 所感
「脱原発」志向により、本市においても、代替エネルギーの在り方等が問われている中で、再生エネルギーの開発状況について直接現地での取組み状況を視察させて頂いたことは今後のエネルギー問題を論じる際に大いに参考になると思われます。
日本は国土が狭く、資源に乏しいといわれますが、領海・排他的経済水域を合わせた洋上面積は世界第6位の広さがあり、そのポテンシャルを活かした洋上発電については、特に今後の技術的課題を差し引いてもかなり有力で、有効なエネルギー供給手段ではないかと考えます。
また、かつて凄まじい環境汚染から多くの住民と行政、企業等の英知と不断の努力によって立ち直った「北九州市」の公害・環境対策の取組みは、今や世界的にも「北九州モデル」として評価を受けていますが、そうした、環境対策の先進事例をみるにつけ、まだまだ本市の取組みは不十分ではないかと感じました。
そして、最後に視察させて頂いた「環境ミュージアム」では、公害を克服した「北九州市」の史実が多くの展示品等で実感することができました。
特に、併設されている「エコハウス」では、家庭の省エネルギー対策の実例として、実物大で家ごと展示がなされており、将来的な住宅の在り方等実感することができました。
今回の行政視察を通して、やはりエネルギー問題については、供給と消費の両面から対策を講じていくべきであり、どちらが先からということではなく、今できるところから早急に取り組んでいくことが大事であり、本市におけるこうした施策についても、そうした視点を持ちながらすすめていくことが肝要であると感じました 。
2月9日
西 のりひと
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