t大阪発の医療イノベーション!
2014年4月7日
関西が、医療に関する「国家戦略特区」に指定されました。具体的な計画は、これからです。「掛け声」だけでなく、実効ある「具体的な計画」をどのように作っていくかが、いま問われています。
大阪には、技術ある「ものづくり」中小企業がたくさんあります。医療の世界では、日本はこれまで、完全に輸入超過。海外から医薬品や医療機器を購入するばかりで、これが日本の医療費の高騰に拍車をかけています。医療の分野でこそ、こうした中小企業の技術を活かしていくべきです。
日本の「ものづくり」の技術力、「工学」と「医学」を結び付けて、新しいイノベーションを起こしていくことを、「医工連携」と言います。しかし、「医工連携」というと、遠隔操作で手術ができる「ダ・ヴィンチ」のような、最先端の機器ばかりが注目されます。しかし、そんな最先端技術でなくっても、もっと基礎的なところで、医療の分野を変革できる、中小企業の技術がたくさんあるんです。
本日、訪問させていただいた大阪府枚方市の「坂本設計技術開発研究所」は、もともとは自動車の金型の設計事務所でした。周辺地域の「ものづくり」企業と「コンソーシアム」を形成し、大学や病院と連携、「医工連携」を進めています。
元請けからの厳しい発注に対応してきた、「ものづくり」の中小企業の皆さんから見ると、医療の現場というのは、一つ一つが本当に原始的に見えるそうです。たとえば、手のひらの腱鞘切開手術では、何人かの医師で患者さんの指一本一本を開いて固定して、手術を行っていました。こんなのは、一つ金具で固定具を作ってしまえば、何人もの医者の手を煩わせることはないはずだ。そんな単純な発想も、いままで医療の世界ではありませんでした。さっそく、簡単な固定具を開発し特許を取得したところ、たくさんの発注が入ったとのことでした。
あるいは、上腕動脈からの心臓カテーテル検査。これまでは、不安定な添え木で腕を固定するか、あるいは鉄板で固定していました。平らな鉄板での固定は、医者も患者も長い手術に耐えるのが大変でした。そこで、適度な硬さの発表スチロールで、曲げ伸ばしができる、腕の形の固定具を開発しました。これも、特許を取得して製品化。
そのほか、体を切ってから、その場その場の判断で骨の手術をしていたものを、各患者の骨を石膏で作成し、事前に手術の予行演習をできるようにするなど、医療の現場を変える数々のイノベーションを成し遂げてきました。それらはどれも、世界最先端の技術ではありません。しかし、こうした医療関連製品のほうが、はるかにニーズが高く、また世界の市場も大きいんです。
医療と、「ものづくり」中小企業の融合。皆さんの頑張りに、政治が強力に後押しできるよう、規制緩和、予算獲得など、出来ること出来ないことひっくるめて、全力で風穴を開けていきたいと思います。
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