tウクライナ情勢の疑問

Posted on 2014年6月20日



「ウクライナは、日本の隣の隣の国」。遠い国のように思っていたが、そういわれると確かに、近い気がする。激動するウクライナの現状について、神戸学院大学の岡部芳彦准教授より、お話いました。

現在の日本の報道は、ロシアからの情報が主となっており、「誤った事実」が多いとのこと。私もこれまでの日本の報道を見ていて、「親ロシアの住民が強くロシアへの帰属を望んでいるのに、なぜそれが否定されるのか」、理解できませんでした。もちろん、きちんとした、法的なプロセスを踏むのは大前提です。しかしその上で、「自分たちのことは自分たちで決める」という、住民の自決権が否定されるのは、どうも釈然としませんでした。

岡部先生の話は、そのハテナをいとも簡単に解決してくれました。それは、「東ウクライナ」には、実は「親ロシア」は多くないということ。日本の報道とは、まったく逆のことをおっしゃられました。岡部先生いわく、「東ウクライナ」の人々の心情は、「遠い首都のキエフも好きになれないけど、ロシアはもっと好きになれない」とのこと。そうした感情は、今回のロシアの対応によって、より強まりました。「東ウクライナ」が「親ロシア」というのは、あくまでロシアが流している情報であって、日本の報道では、ロシア専門家が解説をしますが、ロシア専門家はモスクワの情報をベースにしている。だから、こうした誤解を与える報道となるんだ、とのお話でした。

そもそもウクライナには、東西対立は存在しません。あるのは東西二極どころか、多民族、多様性の国家です。ウクライナ正教会もあれば東方典礼カトリック教会もある。ロシア正教会もあれば、クリミアにはイスラム教徒もいます。民族も、ロシア系もいればポーランド系もいる。タタール系もいれば、ラトビア系、アルメニア系もいる。東西二極にわかれるほど、単純じゃないようです。ただ、それでも「自分たちはウクライナ人だ」という意識だけは強く、「俺が、私が本家本元のウクライナ人だ!」という争いをしている。だから、ウクライナを二分するような、争いには「絶対に」なりえない。それが、ウクライナの現地に足しげく通う、岡部先生の結論でした。

ウクライナと日本、「隣の隣の国」として共感を覚えるところも多いです。「コサック」の国と「サムライ」の国。大国ロシアの隣国どうし。また非常に親日的であり、在留邦人が200人しかいないのに、寿司レストランは500件以上あるそうです。残念なことですが、両国とも大きな原子力事故も経験しています。ウクライナ情勢、ますます大変な中にありますが、大局観にたって、ウクライナとの友好関係を深めていきたいと思いました。

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