tパンダバンブー

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2024年11月24日



岸和田市は約20年間、和歌山県白浜町のテーマパーク「アドベンチャーワールド」に、市有地にある竹林の竹を無償で提供し、同園のジャイアントパンダの食事として活用されている。飼育されている4頭のパンダは現在、1頭あたり1日20~30キロの竹の枝葉を食べており、このうち約半分が岸和田市から届けられている。

 市が同園に竹を提供するのは、市内の丘陵部から山間部で土砂崩れの原因や害獣のすみかにつながる放置竹林の拡大があったため。市は同園に竹の提供を継続することで、竹林整備と山の環境保全を行っている。


■循環型社会へ産学官連携

 一方、パンダのえさになるのは軟らかい葉や枝で、食べられない幹の部分などは焼却処分され課題となっていた。そのため市、白浜町、同園は2022年、パンダバンブー(パンダが食べ残した竹)について、竹を使い循環型社会の実現をめざす協定を締結。パンダが食べ残す竹を有効資源として利活用し、社会課題の解決を行う「パンダバンブープロジェクト」を進めてきた。


■里山再生学ぶ環境教育にも

 例えば、本年度は竹5000本を使った高さ約15メートルの巨大なアート制作を同園で実施。市内の小学生や地域住民が協力して10月に完成し、竹の魅力を伝えている。また、竹の一部を活用しタンブラーやネームプレートなどの製品、工芸品に使われている。そのほか、小学校では竹の伐採体験を通して、里山再生や竹の資源循環などを学ぶ環境教育にもつなげている。


 市によると、今後は温室効果ガスの排出削減量を国が認証し取引できる「J―クレジット制度」の参加をめざすという。

 市水とみどり課の担当者は「大阪・関西万博でのPRを含め、岸和田市の竹林から魅力的な内容を発信していく」と話す。


 市議会公明党は、議会質問などを通じて同プロジェクトを推進。米田貴志市議は22年6月の常任委員会で、放置竹林の整備について、民間企業のノウハウを活用するよう訴えていた。

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