e参院選 質問に答えます
- 2013.07.07
- 情勢/解説
公明新聞:2013年7月7日(日)付
答える人
公明党政務調査会長(衆院議員)
石井 啓一さん
21日(日)投票の参院選で、公明党は全国各地でし烈な票の争奪戦を繰り広げています。そうした中、読者の皆さまから、参院選の争点と公明党の見解について多くの質問が寄せられています。そこで、代表的なものについて、石井啓一党政務調査会長(衆院議員)に答えてもらいました。
"ねじれ"解消を最大の争点にするのはなぜ?
男性 "ねじれ"解消を参院選の争点にするのはなぜ?
石井 参院で与党が過半数に満たない"ねじれ"状態だと、野党が党利党略で国会を運営しがちです。その結果、国民生活に直結した重要な法案を円滑に成立させることが困難になります。
先の国会最終日、電気事業法改正案など4法案が廃案になったことが象徴的でした。参院第1党の民主党が法案そっちのけで安倍晋三首相の問責決議を優先した結果です。自然エネルギーの新規参入促進などが狙いの同改正案は、民主党幹部も「成立する」としていたのに、全く矛盾した無責任極まりない対応でした。
女性 政権復帰後初の通常国会で勝ち取った成果は。
石井 国会の"ねじれ"の中でも政府提出法案の84%に当たる63本を成立させました。昨年の通常国会は66%だったように、民主党のいずれの政権の時よりも高いものです。
2月には、国費10.3兆円規模の緊急経済対策を盛り込んだ2012年度補正予算が成立。衆院選での公明党の主張がそのまま反映され、防災・減災対策を中心とした公共事業が盛り込まれました。
また、後見人が付いたら剥奪されていた成年被後見人の選挙権を回復しました。それまでの公職選挙法の規定が3月に東京地裁判決で違憲とされてから、わずか2カ月余りでスピード決着。参院選では約13万6000人が新たに投票できるようになり、関係者から喜ばれています。
子どもの貧困対策推進法、いじめ防止対策推進法、改正ストーカー規制法、改正DV(配偶者などによる暴力)防止法など、国民目線から暮らしを守る法律も成立させました。
公明主張の賃金上昇、自民党と何が違うの?
男性 公明党は「賃金上昇」を掲げているけど、政府・自民党の主張とどう違うの?
石井 公明党は経済成長した成果が賃金に回るようにすることに全力で取り組んでいます。日本経済の再生とは、「実感できる景気回復」にほかなりません。
具体的には、政労使による「賃金引き上げに関するルール」作りの協議などを開催し、デフレ経済下の10年間で減少した民間の平均給与約10%分を取り戻した上で、さらに世帯収入の増加をめざします。
安倍首相が訴える"1人当たりの国民総所得(GNI)を150万円以上増やす"というのは、「10年間の平均名目成長率3%」という政府の目標を言い換えたものです。政府と基本的方向は同じです。
女性 原発の輸出が話題に上っていますが......。
石井 「3.11」の原発事故後、日本から積極的に原発を輸出することについては、違和感があります。しかし、海外から「他国と比べ日本の原発技術が安全だから導入したい」と要請があれば、国際貢献の視点から、要請を否定するものではないと考えています。
経済成長で"生活者にも実感できる回復"めざす
男性 選挙で関心あるテーマに年金を挙げる人が多いですね。
石井 公明党は、年金改革に積極的です。昨年の社会保障と税の一体改革では受給資格期間を25年から10年に短縮、低所得者への年金加算などを実現しました。
また、公的年金の積立金については、12年度の運用益は昨年末からの円安・株高を受けて11兆円を超え、過去最高。運用益が増えれば、年金の積立金も増えます。老後の安心へ、きめ細かな社会保障の充実に全力を尽くします!
男性 憲法改正について、公明党の考えは。
石井 昨年12月の自公の連立政権合意で「(衆参各院の)憲法審査会の審議を促進し、憲法改正に向けた国民的な議論を深める」とある通り、国会で着実に審議を重ね、拙速を避け、国民的な議論を深めていくことが最重要だと考えます。
基本的人権の尊重、国民主権、恒久平和主義の3原則は、日本国憲法の骨格をなす人類普遍の原理です。公明党はこの3原則を堅持しつつ、新たに必要とされる理念・条文を現行憲法に加える「加憲」が最も現実的で妥当だと考えています。
女性 消費税率引き上げ時に主張していた「軽減税率」の導入はどうなったの?
石井 軽減税率については、公明党の強い主張で"消費税率10%引き上げ段階での導入をめざす"ことで自民党と合意しています。この合意に基づき与党内に設置した調査委員会で、対象品目や軽減税率導入に伴う事務手続きの簡素化など、具体的な課題を検討しています。調査委では、この夏に中間報告を出し、年末の14年度与党税制改正決定時までに結論を出す予定です。
野党が党利党略に走り、重要な法案の成立が困難に
男性 連立政権の中で公明党らしさをどう発揮するのか。
石井 "国民目線"で政策を考え、実行できるのは公明党ならでは、です。全国約3000人の議員が日常的に街角の「小さな声」に耳を傾け、お互いに連携し政策を実現しています。政府が政策の方向性や優先順位を間違えないよう、かじ取りをしています。
また、「平和の党」として、中国や韓国とのギクシャクした関係を改善し、右傾化の懸念への"歯止め役"になってほしいとの公明党への期待も高まっています。「公明党がいるからこそ、政治が安定し安心感が増した」と言ってもらえる存在感を政権内で発揮していきます。