eベビーカーを利用しやすく!
- 2013.07.10
- 生活/生活情報
公明新聞:2013年7月10日(水)付
共通ルールと統一マーク作成へ
「子育て」にやさしい社会をつくりたい―。母親らの声を受けて、国土交通省は6月下旬、ベビーカーを電車やバスなどで利用する際の共通のルール作りをスタートさせた。この背景には、母親らの"小さな声"を太田昭宏国交相(公明党)に届けて、実現への道筋をつけた同党の山本かなえ参院議員(参院選比例区候補)の姿があった。
山本かなえさん 母親らの声を国政に届ける
太田国交相 「協議会立ち上げ、着実に推進」
公共施設や駅でベビーカーが利用しにくい。利用しやすくするために、ベビーカーの優先利用を促す全国統一のマークを作りたい―。子育て中の母親らでつくる「ベビーカーマークの普及を応援する会」(二本柳聡美会長)は、具体化をめざし関係者とさまざまな意見交換を重ねていた。その最中、山本かなえ参院議員の存在を知り、協力を求めた。「すぐにやりましょう!」。同会の横尾隆義事務局長と懇談した山本さんは、統一マークの提案にすぐに理解を示し、尽力を約束した。
今年5月7日の参院予算委員会。「子育て支援に関連して、ベビーカー利用についてお伺いしたい」。こう切り出した山本さんは、公共交通機関や公共施設などに共通のルールがないため、利用者のみならず周囲の人も困惑している現状を説明。JR大阪駅構内にある、ベビーカー優先への協力を訴えるベビーカーマークを例に挙げ、太田国交相に提案した。「全国統一したベビーカー利用に配慮を求める分かりやすいマークを作って、普及していただきたい。また、ベビーカー利用に対するルールを作っていただきたい」
「非常に大事だ」。答弁に立った太田国交相は、「鉄道などの公共機関について、ベビーカーの利用に配慮したエレベーターや車両内のスペース確保が望ましいということを今後、ガイドライン(指針)に明確に位置付けていきたい」と強調。マークの作成や利用に関するルール作りについても「関係省庁とも連携しながら、協議会を立ち上げて着実に進めていきたい」との考えを明らかにした。
そして6月12日、国交省は公共交通機関のバリアフリー整備に関する事業者向けのガイドラインを改訂した。
この中では、駅などのエレベーターを整備する際、ベビーカー利用者も含めて全ての人が安全で容易に移動できるよう、きめ細かな配慮が必要と明記。バス車内では、車いすマークと併せてベビーカーも利用可能であると表示するのが望ましいとしている。電車内についても、路線の利用実態を踏まえて、車いすとベビーカーの利用スペースを増設するよう促している。
「こんなに早く動くなんて...」
公明の対応に広がる喜びと期待
国政の動きと並行して、「応援する会」はベビーカー利用者らを対象にしたアンケートを東京などの都市圏で実施していた。
「ベビーカーを押して電車待ちをしていたら『邪魔だ』と怒鳴られた」「電車の乗り降りも周囲が気になって最後になる。いつドアが閉まるのか不安でいっぱいだ」「電車の車いすのスペースに『ベビーカーもOK』のようなサインを出してほしい」
続々と寄せられるアンケートの回答。必死で子どもを育てる母親らの切実な声がにじみ出ていた。こうした声を、同会は山本かなえさんに届けるとともに、ベビーカーの利用に配慮した取り組みを求める要望書を作成した。
6月20日、同会の島真紀・代表代行らは、山本さんの仲介で国交省を訪れ、太田国交相にアンケートを集約した要望書を手渡した。要望は具体的に、(1)ベビーカーの全国統一マークの創設・普及(2)ベビーカー利用者の「マナー向上」に向けたPR強化(3)バス車内でベビーカーを固定する車輪ストッパーの整備促進(4)商業施設などでベビーカー利用者を優先した「おもいやりエレベーター」の設置―などだ。
要望書を手渡した島代表代行は、2人の乳幼児の男の子を抱えている。要望の席上、島代表代行は、自宅近くの地下鉄駅にエレベーターがないことに言及。保育園に子どもを預けるため、地下鉄に乗る際、子どもを連れながらベビーカーと荷物を抱えて、階段を上り下りしている実情を訴え、早期対応を求めた。
この要望から5日後の6月25日。ベビーカー利用の共通ルール作りに向けた関係者の協議会の初会合が開かれ、議論がスタート。会合では、共通ルールとベビーカーの優先スペースを表示する統一マークを今年度中に作成する方針が確認された。
「私たちの要望を受けて国が動いたことは本当にうれしい」と語る同会の横尾事務局長は、動きが遅い"お役所仕事"にいつも苦々しい思いをしてきた体験に触れつつ、「国がこんなに早く動くなんて、正直驚いた。また、山本議員の決断力や太田国交相につなげるスピードも本当にすごい」と語っている。
公明党がめざしているのは、年齢や性別、障がいの有無などにかかわらず誰もが参加できる「ユニバーサル社会」。その一環として、さまざまな障壁を除くバリアフリー施策を推進してきた山本さんは「今回の取り組みは子育てをする上でのバリアをなくすことにつながる」と語った。その上で、「共通のルールや統一マークを作ることも大事だが、その利用者だけでなく、周りの人からも理解を得られる環境を作っていきたい」と今後の課題に意欲を燃やす。
"子育てママ"の小さな声に耳を傾けた公明党の闘いから、また一つ、新たな実績が生まれようとしている。
自治体、事業者の取り組み
バラバラの対応で効果不十分
ベビーカーの利用者に配慮する取り組みは、自治体や事業者が個別に実施しているため、効果を発揮し切れていない。
例えば、都営バスでは、車いすスペースの座席に補助ベルトを取り付け、ベビーカーを固定できるようにしてある。ただし、朝夕のラッシュ時など車内が混雑している時は、ベビーカーを折りたたんで利用する。広島電鉄の車内では、車いすとベビーカーの利用スペースを分かりやすく表示している。
ベビーカーマーク自体も、車やバスの車内をはじめ、鉄道駅構内や大型ショッピング施設内で見掛けるようになったが、デザインはバラバラだ。今回の全国統一化が、ベビーカーを利用しやすい環境作りへの大きな追い風になるものと期待されている。
普及するマタニティマーク
公明が提案。党を挙げて推進 9割超の自治体でグッズ配布
ベビーカーマークの全国統一化のモデルとなっているのが、周りの人に妊産婦への配慮を促す「マタニティマーク」【写真】だ。これも、公明党の提言がきっかけで実現し、その普及に党を挙げて取り組んできたものだ。
妊娠中の女性にやさしい環境をつくろうと、公明党の松あきら副代表(参院議員)が2005年3月の参院経済産業委員会などで、一部の自治体などが使っていた妊産婦バッジを例に、マークの統一化を提言。厚生労働省が翌06年3月に一般公募でデザインを決定した。
マタニティマーク入りのキーホルダーやストラップ、ステッカーなどのグッズを妊産婦に配布している市区町村は、11年度で1627と全体の9割を超え、電車内や駅など幅広い場所でも表示されるようになった。さらに、全国各地の高速道路のサービスエリア(SA)とパーキングエリア(PA)では、身体障がい者や車いす利用者などのためのスペースにマタニティマークの表示板の設置が進んでいる。