e公的年金が過去最高の運用益
- 2013.07.17
- 情勢/社会
公明新聞:2013年7月17日(水)付
自公の経済政策が奏功
有識者会議 収益率の向上策を検討
自公連立政権による経済政策で株高や円高是正が進み、公的年金の運用が大きく改善している。
国民年金と厚生年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が今月発表した2012年度の運用状況によれば、運用益(収益額)は11兆2222億円、運用利回り(収益率)は10.23%となり、いずれも自主運用を開始した01年度以降で最高を記録した。四半期別に見ると今年1~3月の期間で約7.6兆円の運用益を出しており、自公政権の経済政策が奏功したことが分かる。
運用益の内訳では、国内株式が3兆3314億円(11年度は1754億円)、円安で円換算額が増えた外国株式が3兆7620億円(同619億円)とそれぞれ大幅に膨らんだ。収益率では国内株式が23.40%、外国株式が28.91%に上り、株式への投資が収益の増加に大きく貢献した。
これに対し、財投債を除く国内債券の運用益は2兆1263億円(11年度は1兆6891億円)に伸びたものの、収益率は3.68%だった【グラフ参照】。
将来の年金給付の財源となる年金積立金は、安定的な運用が欠かせないため、債券や株式などの複数の資産に分散投資されている。日本の場合、どの資産にどの程度配分するかという「資産構成割合」は、減収となるリスク(危険)が比較的小さい国内債券が約6割を占めている。
各国の公的年金の運用状況を詳細に比較した08年の政府資料によれば、欧州などでは株式の割合が運用の4~7割程度を占めている【表参照】。
国内債券に偏る日本の現状に対しては、リスクが小さい分、収益も少ないため、株式への投資割合を拡大して収益率の向上を求める声も上がっている。
政府は6月に閣議決定した成長戦略に、公的年金をはじめ国が保有する金融資産の運用の見直しを盛り込んだ。分散投資の促進や運用体制の強化とともに、株式への投資を増やして運用益を向上させる方策などについて、有識者会議で検討を進め、今秋までに結論を得る方針だ。
株式への投資割合を高めれば、その分、景気動向に左右される面がある。日本の公的年金は諸外国に比べて運用の規模が巨額だ。GPIFが運用する年金積立金は12年度末で約120兆円に上る。投資割合を1%増やすだけでも、1兆円以上の資金が市場に流れ、影響が大きい。
重要なのは、安全かつ効率的な運用だ。原資となる資金の性格などを踏まえた慎重な検討が求められている。