e若者の反核行動に期待する

  • 2013.07.27
  • 情勢/国際

公明新聞:2013年7月27日(土)付



被爆者の苦しみを国際社会で語れ
ユース非核特使

 

 

若い世代の反核行動を政府が後押しする。

核兵器反対をめざす活動、研究、教育で実績を挙げてきた若者(15歳から30歳未満)に「ユース非核特使」の名称を与え、国の内外で「核兵器のない世界」に向けた行動を展開してもらう。今年から始まる新しい取り組みだ。

外務省の軍縮不拡散・科学部長の業務委嘱の形で実施されるが、核兵器に関する政府の立場を代弁するわけではない。被爆者の子孫である必要もない。

その第1号として、1998年から高校生を平和大使として国連本部やジュネーブの国連欧州本部などに派遣してきた市民団体主催の「高校生平和大使」が選ばれた。8月、国連欧州本部に派遣される「高校生平和大使」20人に対し、岸田文雄外相が29日、広島市内で「ユース非核特使」の委嘱式を行う予定だ。

「ユース非核特使」は、国際会議や原爆展で実体験を語る被爆者を「非核特使」として派遣してきた事業を、被爆体験のない若い世代に広げた制度である。「ユース非核特使」のアイデアは反核NGO(非政府組織)からも提案され、4月にハーグで開催された核軍縮・不拡散分野における有志国グループ第6回外相会合で岸田外相が創設の意向を表明していた。

被爆者の苦しみを知る日本の若い世代が、世界に雄飛して核廃絶を訴える意義は大きい。「ユース非核特使」は、核兵器の惨禍を国際社会と次の世代に伝えるための重要な役割を担う。大事に育てていきたい。

日本には被爆体験の風化を防ぎ、核兵器の非人道性を世界に理解させる責任がある。しかし、核の非人道性という日本人にとって当然の認識でさえ、国際社会で十分に共有されているわけではない。

今年3月、ようやく127カ国の政府関係者が集って核兵器の非人道性をテーマにした国際会議がオスロで開催されたばかりである。「核爆発による被災者を救援できるとは考えにくいし、救援能力を確立することも不可能」との結論は得たが、この認識を「核兵器は非人道的であるから、生物・化学兵器と同様に違法な大量破壊兵器として禁止すべきだ」との国際世論に高めるには、まだまだ努力が必要である。

被爆者は高齢化している。「核兵器のない世界」実現には、若い世代が被爆者の信念を継承し、世界で反核を訴える必要がある。「ユース非核特使」が、その推進役になることを期待したい。

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