e選挙は民主主義の基盤
- 2013.07.31
- 情勢/解説
公明新聞:2013年7月31日(水)付
「移動支援」など 高齢者や過疎地へ対応は急務
低い投票率
低投票率を定着させてはならない。
「ねじれ解消」が関心を集めたはずの今回の第23回参院選は、選挙区、比例代表とも52.61%と過去3番目の低投票率を記録した。
昨年12月の第46回衆院選の投票率は、小選挙区で59.32%(比例代表で59.31%)と、「戦後最低」を記録したことは記憶に新しい。
地方選挙でも低投票率は目立つ。2011年7月の埼玉知事選は24.89%と4人に1人しか投票しなかったし、参院選の前哨戦となった6月の東京都議選も43.50%と過去2番目の低さだった。
選挙こそ民主主義を支える基盤である。選挙を通して、政党や政治家は、有権者に争点や選択肢を提示しなければならない。
今回、野党の乱立が目立ち、政策論争が深まらなかったことが低投票率につながったとの見方もある。マスコミも議席予測中心の報道や「争点が見えない」などの論評にとどまらず、積極的に議題設定の役割を果たすべきだった。
今回から導入されたネット選挙については、「参考にしなかった」という声もあるが、「定着すれば、生の情報が有権者の心に響き、投票行動に大きな影響を与えるようになる」(岩渕美克・日本大学教授)と期待されている。
低い投票率が続く20代、30代だが、IT(情報技術)環境の中で育ってきた世代であり、政党や候補者がネットを活用し、明快な政策提示や、丁寧な説明を重ねていけば、投票率の向上が期待できる。
一方、投票環境についても課題は少なくない。
財団法人・明るい選挙推進協会の調査によれば、「投票所までの時間が投票傾向に影響を与えている」。5分未満で投票所に行ける場合、「投票に行った」は81.7%だが、20分以上かかる場合、52.2%にとどまっている。
だが、投票所の数は、市町村合併や人口減少に伴う統廃合や経費削減で、減少が続いている。3年前の参院選で全国の投票所は5万311カ所だったが、今回は4万8777カ所と、1500カ所以上減った。有権者にとって投票所は遠くなっているのである。
高齢者や障がい者が投票しやすいような取り組みも必要だ。期日前投票所の増設や、投票所までの「移動支援」充実を求める声は強い。過疎化が進む中山間地などでは、巡回バスを運行する市町村もある。
政党や政治家の発信力を高める努力とともに、有権者が投票しやすい環境整備へ対策強化が求められている。