e介護ロボットの開発 高齢者の生活支援進めよう
- 2013.08.02
- 情勢/テクノロジー
公明新聞:2013年8月2日(金)付
「成長戦略」に盛り込む 安価で利便性高い機器めざす
政府の新たな成長戦略(日本再興戦略)にロボット介護機器(介護ロボット)の開発促進が盛り込まれ、注目を集めている。
高齢者や障がい者の介護・移動支援など、生活支援分野でのロボット技術の活用に強い期待が寄せられているからだ。介護者の負担を軽くするロボットの活用によって要介護者の歩行や食事、入浴などの日常生活を手助けする取り組みは、高齢化が進む中にあって重要なテーマといえる。
現在、65歳以上の高齢者が同年代の配偶者らを介護する「老老介護」の割合は45.9%に上り、介護うつの増加が社会問題となっている。また、介護労働者は現在149万人だが、2025年度には249万人が必要と推計されており、介護ロボットの需要は格段に伸びるはずだ。
ところが、生活支援ロボットの普及・実用化を進めるための安全基準の策定など、制度面の整備が進んでいない。各企業が、経済産業省とNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)によるロボット開発支援を受けて開発努力を継続してきたのが実情である。
この点で、今回、経産省が推進し、厚生労働省が支援する介護ロボット開発事業が成長戦略に「ロボット介護機器開発5カ年計画」として組み込まれた意義は大きい。
同計画は今年度からスタートする経産省の「ロボット介護機器開発・導入促進事業」をベースにしたものだ。主な計画として、(1)安価で利便性の高いロボット介護機器の開発(2)安全基準とそれに基づく認証制度を今後1年以内に整備(3)現場のニーズを踏まえた機器の導入―を柱に最長5年にわたって進められる。
政府は近い将来、1台10万円程度の介護ロボット機器を普及させたい考えだ。工業製品の国際規格を作る国際標準化機構(ISO)が今秋にも介護ロボットの安全基準をまとめる。これを受け、日本の企業が本格的な量産に乗り出すことができ、海外への輸出も可能になる。
公明党は最先端技術を活用した介護・生活支援ロボットの技術開発や実用化の促進を求めてきた。介護・福祉環境をより一層改善するためには不可欠だからである。
今後数年間の取り組みが、将来の日本の介護ロボットの在り方を決める重要な時期を迎えている。介護機器の普及・実用化に国はもっと本腰を入れ、利用者の負担軽減のため、介護保険の適用対象に含めるなど、支援体制を充実させていかなければならない。