e公会計改革推進シンポ
- 2013.08.14
- 情勢/社会
公明新聞:2013年8月14日(水)付
竹谷とし子参院議員の講演要旨
公明党の竹谷とし子参院議員は6日、東京都新宿区の早稲田大学で行われた「公会計改革推進シンポジウム2013」(同大学パブリックサービス研究所主催)に出席し、「持続可能な社会のための公会計改革とその道筋」と題して基調講演を行った。講演要旨は以下の通り。
財政の「見せる化」を
計画、実行、評価、改善の道筋で政府の管理力徹底せよ
現在の日本の財政状況は、税収が1990年を境に減少している一方、特例公債(赤字国債)発行額が右肩上がりで増えており、政府のバランスシート(貸借対照表)では負債が資産を上回っている。つまり、債務超過にある。この状態を知らない国民は少なくない。だから財政の「見える化」が必要で、国民の意識改革にもつながる。
このような財政悪化の原因は、政府の公共事業バラマキと言われるが事実と異なる。財務省が分析した資料によれば、90年度末から2013年度末にかけての公債残高増加額は約571兆円。このうち、高齢化などを要因とした社会保障関係費による増加額が約191兆円と最も大きく、今なお増加傾向にある。公共事業関係費はむしろ、以前と比べて少なくなっている。
社会保障給付費は、年金や医療制度などを通じて国民に還元されるサービスに充てられる。経済が成長している時は、GDP(国内総生産)と同じ角度で上昇していった。しかし、90年を境にしてGDPの伸びは横ばいを続け、社会保障給付費だけが急激に上昇している。同年に約50兆円だったのが、今は100兆円超。財務省などのホームページには、その推移が掲載してある。だがそれを国民が知る機会は少なく、もっと「見える化」、「見せる化」しなければならない。
一方、税収が確保されたとしても、国民から信頼される政府となるべく、公会計制度を改革しなければならない。改革の道筋としてはPDCA(計画、実行、評価、改善)による政府のマネジメント(管理)力を徹底させて無駄遣いをなくしていくとともに、国民への説明責任を果たすことだ。
全国の自治体で公会計の改革の取り組みが進んでいる。その象徴的な事例が東京都で、「東京都方式」といわれる画期的な改革を成し遂げた。都議会公明党のリードで、全国に先駆けて2006年から複式簿記・発生主義会計を採用し、財務諸表の活用で事業評価などを行う財政の「見える化」を推進した。その結果、「隠れ借金」の解消につなげ、都財政を改善することができた。「東京都方式」は今や東京都町田市や大阪府などに広がり、最近も(公明党の議会質問により)東京都江戸川区でも導入することが決定した。
今、焦点となっている社会保障財源確保のための消費税率引き上げを実施するのであれば、例えば国民一人一人のレベルで社会保障費の給付と負担が分かるようにするなど、国民目線で税や保険料の使途をチェックできる仕組みをつくるべきだ。今年6月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針で、PDCAサイクルでの活用を視野に入れつつ、政策別コスト情報などの開示のさらなる改善に取り組むと明記されたように、国が主導して公会計制度の改革をする必要がある。