eがん教育の強化 来年度から小中高で実施

  • 2013.08.21
  • 情勢/社会

公明新聞:2013年8月21日(水)付

 

命の大切さ学ぶ機会に 先進的な授業や教員研修も

 

小中高校で、がんに関する保健教育を2014年度から強化する方針を文部科学省が決めた。

公明党の長年の主張が実ったものだ。モデル校での、がんに対する先進的な授業や教員研修の実現に期待は大きい。学習指導要領の次期改定時に新たな記述を盛り込み、教科書の内容充実をめざす。

国民の2人に1人が、がんになる時代が来ている。しかし、現在の教育現場では、がんは保健体育の授業で生活習慣病の予防や喫煙などの害を学ぶ際、他の病気と合わせて紹介される程度だ。授業時間も小中高校で、それぞれ1時間ほどしか確保されておらず、有効な、がん教育が行われてきたとは言えない。

そこで公明党は5月24日、文科相に直接、がん教育の重要性を提言。現状について「がんという病気への向き合い方や、がん患者に対する理解を深める教育は不十分である」と強く指摘し、同省内に、がんの教育に関する検討委員会の設置や教育内容の充実を急ぐよう求めた。

その結果、7月26日に同委員会の初会合が開かれ、授業内容や方向性を議論。文科省は同委員会での検討を踏まえ、来年度からのモデル事業の実施や教材の作成・配布などに取り組むことにした。

国が12年度に定めた「がん対策推進基本計画」では、がん教育について、子どもたちが「健康と命の大切さを学び、自らの健康を適切に管理し、がんに対する正しい知識と、がん患者に対する正しい認識を持つよう教育すること」を目標に掲げている。

がんと喫煙などとの関係や治療方法、検診の重要性に関する知識に加え、がんという病気から健康問題や医療の現状、命の大切さなど、小中高生の時から総合的に学べる体制づくりが重要であることは言うまでもない。

がん教育は、子どもたちが自身の健康の大切さを学ぶと同時に、病気の人に対する偏見や差別を無くすための重要な機会になるだろう。

14年度には全国の学校でどの程度、がん教育が行われているかを調査するほか、モデル校を選定して16年度までの3年間で先進的な教育を行う。モデル事業では、教育委員会が独自の教材を作ったり、民間企業による教材を活用し、医療の専門家や、がん経験者を招いての授業も検討する。保健体育の教師などに対して、がんへの知識や理解を深める研修も行う方針だ。

学校現場での質の高い授業を何としても実現してもらいたい。

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