e限定正社員 働き方の選択肢広げよう

  • 2013.09.17
  • 情勢/社会

公明新聞:2013年9月17日(火)付

労使が納得できる雇用ルールを



厚生労働省は先週、「多様な正社員(限定正社員)」の普及に向けた有識者懇談会の初会合を開催した。

懇談会は企業や労働者からヒアリングを行い、限定正社員の雇用管理の指針などを2014年中にまとめる予定だ。働き方の選択肢を広げていくための活発な議論を期待したい。

限定正社員は、一般的な正社員と同様に定年まで働き続けられるものの、勤務地や職種、労働時間が限定されている雇用形態を指す。「地域限定正社員」や「短時間正社員」と呼ばれている働き方が、それに当たる。

給与は一般的な正社員に比べて低いが、転勤や残業がないため、子育てや介護などの事情を抱える人が、自分のライフスタイルに合わせて働き続けることが可能になる。不安定な非正規雇用で働く人が正社員化をめざす際の足掛かりともなろう。

離職率の抑制や就業意欲の向上、専門性の高い人材の確保などができる利点があり、導入する企業は増えている。

厚労省が11年に行った調査によれば、何らかの限定正社員を導入している企業は約5割に達した。今後、さらに多くの企業に広がっていく余地は十分にあるはずだ。

限定正社員の導入を促進させていく意義は大きい。

ただし、普及への課題は、いくつか指摘されている。

一つは、労働契約や就業規則に明示されず、企業側の運用に任せられているケースが多いことだ。

あいまいなままでは、雇用保障の在り方が不明瞭になりかねない。労使双方が納得できるような雇用ルールを整備していく必要があるのではないか。

労働契約が明確化されている場合でも、なし崩し的に規定外の労働を強いられているケースもあるという。また、企業が賃金抑制などを目的に、一般的な正社員を限定正社員に強制的に転換させてしまう恐れもある。

悪用されないための仕組みづくりにも知恵を絞りたい。

一方、労働組合などからは、「企業が勤務地の閉鎖などを理由に限定正社員を解雇しやすくなるのでは」と不安視する声もある。

当然、安易な解雇につながる事態は避けなければならない。政府は国会答弁で限定正社員にも解雇権の乱用は許されないことを強調している。

限定正社員は、労働スタイルを大きく変える可能性がある。働きやすい仕組みは、どうあるべきか、有識者懇談会で議論を深めてほしい。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ