e乳がんの死亡率減少 検診受診率向上の契機に
- 2013.09.18
- エンターテイメント/情報
公明新聞:2013年9月18日(水)付
早期発見へ国と地方の連携強化を
厚生労働省が公表した人口動態調査で、乳がんにより死亡した女性の割合が、2012年に初めて減少に転じたことが分かった。
乳がんの死亡率の上昇傾向に一定の歯止めがかかったことを歓迎したい。
日本で、乳がんが増加したのは、脂肪の多い欧米のような食生活が原因とされ、年間で1万2000人以上の女性が死亡する。
同調査によると、乳がんの10万人当たりの死亡率は1950年に3.3人だったが、その後は上昇をし続け、95年には10人を超えた。11年に過去最高の19.7人になったが、12年には19.4人で、0.3ポイント減った。
その要因の一つとして、検診に使われるマンモグラフィー(乳房X線撮影)の普及を挙げる専門家は多い。触診などと比べると、非常に早期ながんとされる「非浸潤性乳管がん」を発見するケースが増えているという。その時点で手術を受ければ完治する可能性も高い。
乳がんは早期なら比較的治りやすいがんの一つとされていて、他のがんと同様に早期発見が有効だ。そのためにも、がん検診を受診することが何より重要である。
ところが、日本人の乳がん検診受診率は、欧米の7~8割に比べると2割程度と極端に低いのが大きな課題となっている。これでは早期発見で救える命も救えない。
一方、日本人の2人に1人はがんになる時代である。超高齢社会を迎え、大幅な増加が予想される医療費を抑制する観点からも、その対策は急務となっている。
公明党が検診受診率アップをめざし、乳がん検診などの「無料クーポン」を推進し、09年度から一定年齢の女性を対象に配布するようになったのも、そのためだ。
その結果、厚労省の調査(10年)によると、乳がん検診受診率は31.4%に改善され、45~49歳は5割近くまで上昇した。無料クーポンは受診率向上に寄与したと専門家からも高く評価された。
ただ、検診を実施する自治体の現場ではマンモグラフィーの普及に伴い、検診に当たる専門医師や技師の不足など多くの課題を抱えているのが実態である。マンパワー不足解消を急がなくてはならない。
政府は「がん対策推進基本計画」で、検診受診率の50%以上を目標に掲げている。乳がんの死亡率減少という萌芽を大切に、自治体との連携を強化し、検診受診率向上につなげてほしい。