e温暖化の防止 環境と経済の両立推進を
- 2013.10.04
- 情勢/解説
公明新聞:2013年10月4日(金)付
省エネや再生エネ技術で模範を示せ
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は先週、地球温暖化の原因が二酸化炭素(CO2)である可能性が「極めて強い」とした評価報告書を承認した。
今回の評価報告書は、温暖化と人間の活動との関係について、これまで出された報告書の中で最も強い表現を使っている。それは、近年の観測結果などから大気中のCO2濃度が前例のない高水準にあり、人間の活動が温暖化に影響していることを示す科学的な証拠が増えたからである。
残念ながら、報告書が予測する未来は明るいものではない。
陸地・海洋の温度上昇や北極圏の雪氷の減少、海面の水位上昇などが今以上に深刻化する。大雨や洪水、干ばつ、熱波などの極端な気象の発生も増加する。
平均気温の上昇は、農林水産物の生産に大きな打撃を与え、食料問題に波及していく。海面の水位上昇は、人間が利用できる土地の減少につながる。極端な気象の発生増加は、より大きな災害をもたらす。
こうした地球規模の危機を食い止めるため、各国政府は早急に対策を進めなければならない。2015年に全ての国を対象とした、CO2排出削減のための法的枠組みを採択し、20年から運用を開始する予定だ。しかし、肝心の具体案は全く見えていない。
全ての国を対象とする法的枠組みの採択に、日本が果たすべき役割は大きいが、東京電力福島第1原発の事故以降、火力発電への依存度が増加し、国内のCO2の排出量は増えている。国際社会に環境面で貢献するには、苦しい立場である。
まずは、停滞気味な国内の温暖化対策を力強く進め、自信を持って国際協議の場に臨めるようにすべきだろう。
日本には世界に誇る省エネや再生可能エネルギーの技術がある。温暖化対策で世界に模範を示す力を持っている。
環境・エネルギー分野は新しい成長分野である。その芽を大事に育てることが、経済成長と国内の温暖化対策を同時に推し進めることにつながる。
特に、風力による発電量は東日本大震災前の原子力の発電量を、はるかに上回る潜在力を秘めている。日本の技術力に定評がある洋上風力発電は、世界的に優位に立てる。
政府は今月中旬から始まる臨時国会を「成長戦略実行国会」と名付けた。環境と経済を両立させて、日本の成長力を大きく引き出す議論を活発に展開してもらいたい。