e改正ストーカー法 被害者保護へ規制を強化
- 2013.10.05
- 情勢/解説
公明新聞:2013年10月5日(土)付
警察は万全な初動態勢の確立急げ
被害者の保護策を強化した改正ストーカー規制法が3日、全面的に施行された。
ストーカー規制法は、公明党の推進で2000年に成立した。相手へのつきまといや待ち伏せなどの行為を規制している。改正法がスタートした背景には、昨年の被害件数が過去最多の2万件近くに上り、悪質な事件が後を絶たない現実があるからである。
公明党が一貫して主導した改正法のポイントの一つは、嫌がる相手に繰り返し電子メールを送信する行為を新たに規制の対象にした点だ。これは7月に先行して施行され、既に千葉県で逮捕者が出ている。
電子メールの送信行為を規制したのは、昨年11月の神奈川県逗子市の女性殺人事件と似たような悲劇を二度と起こさないためだ。女性は、かつて交際していた男から大量の嫌がらせメールを送られたことを警察に相談した。しかし、メール送信は取り締まりの対象外だったので、警察は対応できず、女性は殺害された。この反省を踏まえたものだ。
二つ目は、ストーカー被害に遭った場合の警告や禁止命令は、被害者の住所地の警察署や公安委員会しか出せなかったが、加害者の住所地など関係する都道府県でも警告できるように改善した。実家に逃れた女性を追い掛けてきた男に対して、警察が警告を出せず、殺人に至った長崎県西海市の事件を教訓にしている。
三つ目は、警察が加害者に警告を出した場合、その事実を速やかに被害者に知らせ、警告しない場合は理由を書面で通知するよう義務付けた点だ。これまでも、何度となく警察は初動の鈍さを指摘されてきた。被害者を守るため、警察の積極的な姿勢を求めている。
警察は現場での連携を強化し、被害者保護に全力を挙げてもらいたい。
特に、初動態勢を万全にするべきだ。現制度では、警察が警告しても従わない場合に公安委員会が禁止命令を出し、さらに従わない場合は罰則が適用される。凶悪事件に至るようなケースでは、この3段階の仕組みでは時間がかかりすぎて、犯行を防止できない可能性がある。迅速な対応ができるような仕組みづくりを具体化してほしい。
一方、ストーカー犯罪は再犯率が高いといわれる。加害者を減らすためには、カウンセリングなど加害者を更生するソフト面の取り組みを求める声もある。政府は次のステップとして、こうした対策を強化すべきだ。