e診断を促す環境整備を

  • 2013.10.07
  • 情勢/解説

公明新聞:2013年10月7日(月)付

政府は支援策の周知徹底を急げ

改正耐震改修促進法

大規模施設などに耐震診断を義務付ける改正耐震改修促進法の施行日が、4日の閣議で11月25日に決まった。首都直下地震や南海トラフ巨大地震をはじめとした大規模地震に備えるために、建物の耐震化は急務の課題だ。

特に、不特定多数の人が利用する店舗や旅館などが、万が一にも地震で倒壊する事態になれば、人的・物的被害は甚大になりかねない。強制力を働かせても耐震化を着実に進める必要がある。

義務付け対象となる施設の管理者は期限までに耐震診断を実施し、利用者や従業員の安全を確保してもらいたい。

耐震診断が義務付けられるのは1981年5月以前の旧耐震基準で造られた、大規模な施設や自治体が指定する緊急輸送道路沿いの建物など。店舗や旅館などの大規模施設は2015年末までに耐震診断を行い、結果を自治体に報告しなければならない。緊急輸送道路沿いの建物などの報告期限は自治体が決める。

自治体は診断結果をホームページなどで公表する。施設側が報告を拒否すれば100万円以下の罰金が科される。

一般に耐震診断や耐震改修が進まない最大の原因は費用負担が重いためだ。国や自治体が一定の支援をし、耐震化を促すべきだ。

国土交通省は15年度までの時限措置として、耐震診断が義務付けられる施設に対する助成を拡充。既存の耐震補助制度がある自治体においては、国による耐震診断の助成割合を通常の3分の1から2分の1に、耐震改修では11.5%から3分の1に上乗せする制度を設けている。こうした支援策の周知徹底を急がなければならない。

心配なのは、経営が厳しい店舗や旅館が耐震診断や改修に踏み切れない場合である。耐震診断を受けなかったり、受けた結果、耐震基準を満たしていないと公表されれば、経営への打撃は小さくない。

診断結果の公表には、きめ細かい配慮が必要だ。耐震改修や建て替えの予定があれば診断結果と合わせて公表するなど、工夫して対応してほしい。公表後に耐震性が確保されれば、速やかに公表内容を改めるべきだろう。

観光地の旅館などに対しては、自治体が独自の支援措置を講じてもいいのではないか。旅館やホテルなどの宿泊施設は観光を支える重要な基盤の一つである。どういう形で支援できるか真剣に検討してもらいたい。

国民の生命と財産を大規模地震から守るために、建物の耐震化を一気に進めたい。

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