e成長戦略実行国会 対日投資呼び込む政策を
- 2013.10.16
- 情勢/解説
公明新聞:2013年10月16日(水)付
規制、商慣行を見直す議論深めよ
「成長戦略実行国会」と位置付けられた臨時国会が開幕した。
自公連立政権による経済再生策の効果で、日本経済は息を吹き返している。数多くの経済指標が、政策の有効性を証明している。
次の課題は、景気を自律的な成長軌道へ乗せることができるかどうかだ。成長戦略(日本再興戦略)によって、国内産業の活性化を促すことが必要である。特に、企業の事業再編や設備投資を促進する産業競争力強化法案の早期成立に加え、対日投資を増やす取り組みが欠かせない。
海外の投資家にとって、優れた技術や多くの知的財産を持つ日本企業への投資は、利幅の大きい魅力的な投資案件だ。投資の増加は、日本企業に新規ビジネスへの挑戦の機会を生み出す。海外から日本への投資額は2000年前後から目に見えて増加したが、08年のリーマン・ショックなどの影響もあり、ここ数年は伸び悩んでいる。
対日投資の低迷は経済的原因だけではない。日本独特の商慣行や規制、日本社会の根深い閉鎖性にも一因がある。
欧米やアジアの外国企業の対日投資関心度を調査した報告書がある。外国人投資家は起業時に行う法人登記に、日本の印鑑や代表者の国内居住など多くの条件が必要な点を「煩雑」と感じている。日本支社を置いていても「(不信感から)銀行口座を開設させてもらえない」といった深刻な声もあった。年配の日本人スタッフに「英語でのコミュニケーションを避けられる」といった耳の痛い指摘もある。一方で、日本の理系人材の質や治安の良さなど社会の安定性に対する評価は、他のアジア諸国に比べても高い。
7年後には世界が注目する東京五輪が開かれる。開催までの期間を、日本の魅力を底上げする絶好の機会と捉えるべきではないか。今こそ、日本をアジア一の投資対象国に押し上げる政策が望まれる。
安倍首相が所信表明演説で触れた通り、特異な規制の緩和や商慣行の転換は、大きな経済効果が見込める。これまで以上に投資をしやすくなるからだ。多様な外国文化を偏見なく受け入れる環境作りも欠かせないだろう。世界で一番企業が活躍しやすい社会基盤を整えなければならない。
世界中の投資家や企業から見れば、日本経済は有力な投資先の一つだ。激化するグローバル経済競争から頭一つ抜け出すための戦略と、それを実行する対策を国会の論議で深めてほしい。