e政治安定へ役割果たす
- 2013.10.19
- 情勢/社会
公明新聞:2013年10月19日(土)付
中韓関係改善に本腰を
原発事故 避難者への賠償拡充急げ
参院本会議で山口代表が強調
参院は18日、本会議を開き、安倍晋三首相の所信表明演説に対する各党代表質問を行った。公明党の山口那津男代表は、連立政権での公明党の役割について、国会で「数の安定」を担うだけでなく、「国民生活に密接なテーマで実績を積み重ねてきた経験・持ち味を発揮する『質の安定』の役割も十分に果たしていく」と強調。中国、韓国といった近隣諸国との関係改善や福島第1原発事故の賠償、公文書管理の在り方などについて、政府の見解を求めた。 質問と首相答弁の要旨
閣議議事録の作成、公開へ
公文書管理法 改正早く
首相 「政府で調整・検討し提出」
【外交・安全保障】山口代表は、政権基盤が安定している今こそ中国や韓国との関係改善に本腰を入れて取り組む好機として、歴史認識や従軍慰安婦問題に関する「(歴代内閣の考えを引き継いでいる)安倍内閣の立場が正確に伝わるよう、丁寧に説明していくことが必要」と主張した。安倍首相は「あらゆる機会を捉えて安倍内閣の考え方を説明していく」と答えた。
【スポーツ振興】2020年に東京での開催が決まったオリンピック・パラリンピックに関して山口代表は、文化芸術を活用した取り組みを通じた地方活性化を提案。併せて、政府一体でスポーツ振興を進めるためのスポーツ庁設置を求めた。
安倍首相は「(東京五輪は)スポーツのみならず文化芸術を通じて日本の魅力を発信する大きな機会」との認識を示し、スポーツ庁の設置については「検討を進める」とした。
【公文書管理法の改正】山口代表は、閣議や閣僚懇談会の議事録作成を義務付け、それを一定期間後に公開する規定を盛り込んだ公文書管理法改正案の早期成立が重要と強調。
安倍首相は「政府部内で必要な調整・検討を行った上で(改正案を)提出することとしたい」と表明した。
【消費増税】山口代表は、消費税率の引き上げに伴う低所得者対策について「抜本的、恒久的な対応を講ずべきとする声が高まっている」と指摘。年末の与党税制改正大綱の策定に向け、食料品などに対する軽減税率導入への議論をさらに加速するよう訴えた。
【難病、雇用対策】難病対策に関する法案を来年の通常国会に提出する政府方針に関し「真に医療費助成を必要とする方への支援が打ち切られないよう留意を」と主張。また、治療法の研究促進なども含めた総合的な対策を求めた。安倍首相は「治療研究などを含め総合的な対策を推進する」と答えた。
また、山口代表は若者の"使い捨て"が疑われる企業に対し、政府が集中的な監督指導を行うなどの対策を講じたことを踏まえ、「未来ある若者が安心して働けるよう今回の取り組みの結果を検証し、さらに対策を進めるべきだ」と強調した。
【震災復興】東京電力福島第1原発事故による長期避難者の家屋の賠償額上乗せや、避難指示解除後の精神的損害に対する賠償の議論を取りまとめ、新指針を策定する政府方針に触れ、避難者の実情や要望を踏まえた新指針の早期策定を要望。田畑や山林、自主除染への賠償などの指針も「速やかに検討を」と訴えた。
【環境】山口代表は近年の猛暑や豪雨などの異常気象に触れ、来月には第19回気候変動枠組み条約締約国会議(COP19)で、20年以降の温暖化対策の法的枠組み交渉が本格化することに言及。日本は省エネルギーや再生可能エネルギーなどの分野で、温室効果ガスの最大限の削減目標を決めてCOP19に臨むべきだと訴えたのに対し、安倍首相は「技術で世界に貢献していく、攻めの地球温暖化外交戦略を組み立てる」と答えた。
【教育】14年度からの高校授業料の無償化見直しについて山口代表は、自民、公明両党の見直し協議で公明党が主張してきた「給付型奨学金」の創設も盛り込まれたと指摘。見直しの方向性について見解を求めた。
安倍首相は所得制限を導入することで捻出される財源を、低所得世帯を支援する給付型奨学金の創設などに充てるとの自公両党の合意を踏まえ、「今後の予算編成過程で検討する」と述べた。
【民法等】山口代表は、非嫡出子の相続分は嫡出子の半分と定めている民法の規定について、最高裁が9月に違憲と判断したことに言及。「憲法は『法の下の平等』を保障している。民法、戸籍法の改正を含め差別の解消に取り組むべきだ」と訴えた。