e景気回復、福祉充実で国民に「安心」届ける
- 2013.10.20
- 情勢/解説
公明新聞:2013年10月20日(日)付
山口代表、井上幹事長の本会議代表質問から
公明党の山口那津男代表と井上義久幹事長は、17、18両日の衆参両院の本会議で、安倍晋三首相の所信表明演説に対する代表質問に立ちました。その中で、景気回復、震災復興の加速化、持続可能な社会保障制度の構築などを訴えました。公明党の主張のポイントを紹介します。
経済の再生
中小企業、地域を元気に。消費税の軽減税率の制度設計急げ
自公政権の経済対策が奏功し、国内総生産(GDP)成長率や有効求人倍率などの経済指標が大きく改善してきました
【グラフ参照】。今後、景気を本格的な回復軌道に乗せるためには、企業収益の改善
を賃上げや個人消費の拡大につなげなければなりません。
そうした観点から井上幹事長は、「景気回復の恩恵を家計へ、中小企業へ、地方へとつなげることが最重要課題だ」と訴え、「政労使(政府、労働者、使用者)」の連携で賃金上昇を促すよう要請。安倍首相は賃金上昇の調査・検証を行い、結果を公表すると応じました。また、井上幹事長は、中小企業、地域経済を活性化するため、起業・創業の促進に加え、"地域発"の成長戦略の重要性を強調しました。
一方、消費税率引き上げに関連して、山口代表は、生活必需品などに軽い税率をかける軽減税率の導入へ「議論を加速化し制度設計の基本を明確に」と重ねて主張。井上幹事長は、引き上げの影響緩和策を低所得者に限らず「子育て世帯など中堅所得層にも配慮を」と対策強化を訴えました。
社会保障改革
高額療養費を見直し低所得者に配慮せよ。難病対策の拡充も
来年4月からの消費税率引き上げの目的は、社会保障制度の安定・充実です。国税の増収分は全額、年金、医療、介護、子ども・子育て支援に充てられます。
子ども・子育て支援と当面の年金改革は、昨年成立した法律で既に動きだしました。医療と介護は、改革の道筋を示した「プログラム法案」が今国会に提出され、政府・与党は同法案の成立に全力を挙げます。
山口代表は、同法案に基づき、来年の通常国会に難病対策に関する法案が提出されることを踏まえ、「真に医療費助成を必要とする方への支援が打ち切られないよう留意すべきだ」と主張するとともに、治療方法の研究促進なども含めた総合的な対策を訴えました。安倍首相は「(難病対策は)私のライフワーク」と強調し、患者の視点に立った政策を約束しました。
井上幹事長は、医療機関などに支払う1カ月の窓口負担を一定額以内に抑える「高額療養費制度」について、低所得者の限度額を引き下げるための所得区分の見直しを提案しました。
また、山口代表は、女性や若者など社会保障の「担い手」となる人々の雇用拡大が「最重要の課題」として、若者の"使い捨て"が疑われる企業への対策など、政府の着実な取り組みを求めました。
震災復興・災害対応
長期避難者の実情や要望などを踏まえた新たな賠償が必要
東日本大震災から2年7カ月余。復興のさらなる加速化が急がれます。
依然として、東京電力福島第1原発事故の影響も深刻です。山口代表は、長期避難を続ける被災者への賠償問題に触れ、政府が年内にとりまとめる指針について「避難者の実情や要望を踏まえた新指針を早期に策定し、新たな賠償を開始すべきだ」と主張。井上幹事長は、原発の汚染水問題について、貯蔵タンクの信頼性向上や風評被害防止など「抜本対策」につなげるよう強く求め、安倍首相は「予防的かつ重層的な対策を講じていく」と応じました。
また、住宅再建も急務です。井上幹事長は、災害公営住宅の建設などを進めるための土地取得が難航している点に関して「特例制度の創設も検討すべきではないか」と提案しました。
一方、今年は台風や豪雨、竜巻が相次ぎ、各地で深刻な被害をもたらしています。井上幹事長は、復旧作業などを通じて浮き彫りになった制度上の課題に言及しました。先月に発生した竜巻については、甚大な被害に遭ったにもかかわらず、被災者生活再建支援制度の対象外となった自治体がある点を指摘。災害規模要件の撤廃など「被災者の立場に立って(同制度を)見直すべきだ」と迫りました。
公文書管理など
閣議議事録の作成義務付けを。TPP、「国益最大化」をめざせ
国会では、さまざまな重要政治課題が議論されています。この中で、国家機密を漏らした公務員らへの罰則強化を盛り込んだ特定秘密保護法案について、政府は公明党の要求に応じ、国民の「知る権利」や取材、表現の自由を明記するなど修正する方針です。
これに関連し、山口代表は、閣議などの議事録作成を義務付ける公文書管理法改正案の早期成立を提案。明治以来、閣議の議事録は作成されませんでしたが、安倍首相は「(同改正案を国会に)提出することとしたい」と明言しました。
また「年内妥結」へ協議が続く環太平洋連携協定(TPP)交渉について、井上幹事長は、国益最大化を堅持するとともに、関税撤廃の対象からコメや麦など農産物の重要品目の除外を求める衆参両院農林水産委員会の決議【別表に要旨】を守るよう要望。安倍首相は「方針に変更なく決議を受け止め交渉する」と答弁しました。
一方、法律上、結婚していない男女の間に生まれた非嫡出子(婚外子)の相続に差別を設けている民法の規定について、相次ぐ最高裁判所の「違憲」判断を踏まえ、山口代表は「民法、戸籍法の改正を含め、差別の解消に取り組むべきだ」と主張。安倍首相は、民法の規定の見直しを検討していることを明らかにしました。