e中間層の家計支援を
- 2013.10.22
- 情勢/社会
公明新聞:2013年10月22日(火)付
経済対策で消費下支え
高額療養費で厚労相 4千万人の負担軽減へ
衆院予算委で上田、桝屋氏
衆院予算委員会は21日、安倍晋三首相と全閣僚が出席し、基本的質疑を行った。公明党から上田勇、桝屋敬悟の両政務調査会長代理が質問に立ち、消費税率引き上げに伴う景気への影響に対処する経済対策、若者雇用支援、社会保障と税の一体改革、診療所火災事故の再発防止などについて質問した。質疑要旨
上田氏は、来年4月から消費税率を現行の5%から8%に引き上げる首相判断について、社会保障の財源確保と財政健全化のために不可欠とはいえ、景気回復の腰折れリスクを伴う「とても重大な決断だ」と指摘。約1兆円の減税と5兆円規模の経済対策を通じて(1)国民の可処分所得(手取り収入)が減ることに伴う消費抑制(2)消費税率引き上げ前後の需要の駆け込みと反動減(3)景況感全体の悪化―の懸念材料を払拭し、景気への悪影響を抑えるよう訴えた。
特に上田氏は、小規模事業者にとって消費税の価格転嫁が困難になる懸念などを示し、「資金繰りに支障が生じる事態を回避するため、政策金融が必要だ」と主張。さらに、年末までに検討する経済対策の具体策の中で、簡素な給付措置などの低所得者対策に加え、「中堅所得層、特に消費性向の高い子育て世帯やサラリーマン世帯に対し、可処分所得の減少を補てんし、消費を下支えする対策を検討すべきだ」と強調した。
安倍首相は、住宅ローン減税の拡充や給付措置などを挙げ、「中所得者も含めた家計への配慮を十分に行い、施策の着実な実施に努めていく」と答えた。
このほか、上田氏は若者を取り巻く労働環境の劣悪な実態を重視し、「日本の未来を担う若者の雇用と所得の安定に全力を挙げてほしい」と要請。2015年10月の消費税率10%引き上げ判断に関連し、食料品などの生活必需品に対する軽減税率の導入について「年末に向けて、与党内で議論していきたい」と述べた。
診療所の経営強化 診療報酬改定求める
一方、桝屋氏は消費税率8%への引き上げを踏まえ、政府が5兆円規模の経済対策を実行する方針に触れ、「『(増税分は)全部、社会保障に使うのではないのか』という素朴な疑問が生まれてくる」と指摘し、説明を求めた。
安倍首相は、消費税率引き上げの目的が社会保障制度の維持・充実であるとし、増収分は「全額、社会保障費に充てる」と強調。経済対策の財源は、景気回復に伴う税収増や2012年度決算剰余金を充てる方針を示した。
今後の社会保障制度改革の手順を示した「プログラム法案」について桝屋氏は、70~74歳の医療費自己負担割合を引き上げる際に、年収300万円前後の人の高額療養費負担を減らす必要性を訴えた。
田村憲久厚生労働相は、3人家族で年収約210万~370万円未満の人(4060万人)に対し「上限をもう少し下げる議論をしている。年末の予算編成に向け、納得のいく方向性を打ち出したい」と答えた。
また、桝屋氏は生活保護費のうち生活費に充てる生活扶助の基準が物価動向などで決まる点を踏まえ、消費税率引き上げで基準がプラスに改定されるかをただした。
これに加え、桝屋氏は、11日に10人が死亡した福岡市の診療所火災に言及。「こうした診療所は(住み慣れた地域で医療、介護などのサービスを一体的に受けられる)『地域包括ケアシステム』の担い手だ。再発防止に取り組んでほしい」と訴えるとともに、診療所の経営基盤強化に向け、来年度診療報酬改定への取り組みを求めた。