e来年度診療報酬改定 がん、認知症対策充実を

  • 2013.11.12
  • エンターテイメント/情報

公明新聞:2013年11月12日(火)付



有床診療所の経営基盤強化も必要



来年度の診療報酬改定の検討が始まった。改定に向けた基本方針の骨子案が、厚生労働相の諮問機関である社会保障審議会の関係部会に先週示された。

12月上旬にも改定に向けた基本方針が取りまとめられる予定だ。

骨子案には、手厚くする分野として、(1)がん治療や精神疾患(2)認知症対策(3)地域の在宅医療・介護を充実させるための24時間態勢の訪問看護ステーションの促進―を実現したい考えが出ている。その方向性は妥当である。

これに合わせ骨子案は、医療全体の重点化、効率化を推進するため、救急病院、容体が安定している患者を受け入れる病院、小規模の診療所など、医療機関ごとの役割分担と連携を進めるようにすべきだとしている。

このうち、小規模の有床診療所は、地域に密着し、比較的低コストで良質な医療を提供している。このため、自立した生活を送れない高齢者の受け皿にもなっており、「地域包括ケアシステム」の重要な担い手でもある。

ところが、先月、福岡市の小規模診療所で火災が起こり、入院患者ら10人が死亡する痛ましい事故が発生した。

公明党の桝屋敬悟衆院議員は先週の衆院厚生労働委員会で、こうした有床診療所は診療報酬点数が大規模な病院と比べて低いために、経営が厳しい中で地域医療を担っている実態を指摘。来年度の診療報酬改定で経営基盤強化への取り組みを求めた。

厚労相は、「地域医療の要になって運営できるような診療報酬改定をしないといけないと思う」と前向きに答弁している。ぜひ、実現してほしい。

人口の高齢化が進む中で、重症患者が急性期を脱した後の回復期や在宅患者の受け皿となる病床の整備も必要だ。リハビリ中の患者向け病床を増やして、高齢者が住み慣れた自宅や地域の施設に戻れるよう後押しすることが重要だからである。

一方、骨子案は「急性期病床の機能の明確化」を打ち出した。これまで高い報酬で優遇してきた急性期病床を、重症患者が入院していない場合は高い報酬を認めないなど要件を厳しくする内容だ。この提案には反発がある。急性期のベッドが急に減れば現場が混乱するとの意見も出ている。慎重な議論が必要だろう。

がんや認知症対策の充実、在宅医療の強化などは時代の要請である。国民の医療を守るために必要な診療報酬の見直しを進めてほしい。

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