e食品表示問題 違反の基準指針で明確に
- 2013.11.25
- 情勢/解説
公明新聞:2013年11月25日(月)付
政府・自治体は監視体制を強化せよ
ホテルや百貨店などでメニューや食材の虚偽表示が相次いでいる。利用者の食に対する信頼を裏切る行為であり、看過できない。適正な表示を励行している業者にとっても迷惑だ。
このまま放置していては、海外から「安全で安心」と評価の高い日本の食に対する信頼が揺らぎかねない。
政府は、事実関係を一日も早く明らかにし、再発防止に向け万全な対策を急いでもらいたい。
公明党の消費者問題対策本部などが22日、菅官房長官に対し、緊急提言を行ったのは、そのためだ。
提言のポイントの一つは、早急な実態の把握と厳正な対処だ。外食の表示を取り締まる景品表示法は、商品の内容が実際以上に高級であると見せかける表示を禁止している。違反した業者には、その行為の撤回などを命じる措置命令が出される。それに従わない場合は、2年以下の懲役や300万円以下の罰金などの罰則を定めている。悪質な事案については、厳正に対処すべきである。
二つ目は、適正な表示の基準を明確にすることだ。虚偽表示の背景の一つには、業界のモラル低下があることは否定できない。その一方で、景品表示法が違反とする基準が不明確であると指摘する意見は少なくない。
まず、違反の基準を分かりやすく示すガイドライン(指針)を策定すべきである。これから年末にかけて、忘年会や家族・友人などとの外食の機会が増えるだけに、年内にガイドラインを業界へ周知徹底してもらいたい。
三つ目は、行政機関による監視・指導体制の強化である。関係業界の裾野は広く、消費者庁だけでの対応には限界がある。省庁の垣根を越え、不当な食品表示の調査を行う農林水産省の食品表示Gメンなども活用するべきだ。地方自治体の体制の強化も不可欠である。
提言は、外食の食物アレルギーの成分表示にも踏み込んでいる。一連の事案の中に、細かい肉を結着剤で固めて形を整えた豪州産の成型肉を和牛ステーキと表示したケースがあった。この肉には、アレルギー症状を引き起こす成分が含まれていた。
食物アレルギーは最悪の場合、死に至る危険性がある。ところが、食品に表示すべき項目などを定める食品表示法には、外食メニューのアレルギー表示は義務付けられていない。人命に関わる問題だけに、表示義務の導入を先行して検討してほしい。