e政府の経済対策 家計や中小企業を応援
- 2013.12.10
- 情勢/解説
公明新聞:2013年12月10日(火)付
早期執行で景気の腰折れ防げ
政府が5.5兆円規模の経済対策を決定した。来年4月の消費税率引き上げ後の景気減速を最小限に抑え、成長を確実にするのが狙い。自治体や民間の支出を含む総事業費は、約18.6兆円になる。
自公連立政権の経済政策によって景気は着実に上向いているが、民間主導の力強い成長には至っていない。事実、内閣府が9日に発表した7―9月期の国内総生産(GDP)改定値は、4四半期連続のプラス成長を維持したが、速報値に比べ下方修正されている。デフレからの脱却はまだ道半ばだ。
民間調査機関によると、消費税率を5%から8%に引き上げる直後の来年4―6月期の経済成長率は、駆け込み需要の反動減により、4~5%マイナスになるとみられている。景気の腰折れを防ぐには、効果的な予防策を打たなければならない。
経済対策では、税率アップに伴う家計の負担増を踏まえ、幅広い世代への支援策を実施する。公明党の提案が随所に反映されたものだ。
具体的には年収などの条件を設けて、(1)住宅購入者に最大30万円(2)低所得者層に原則1人1万円(3)児童手当の受給世帯に子ども1人当たり1万円―を支給する。家計の痛みと、消費の落ち込みを一定程度カバーできるのではないだろうか。
自律的な経済成長を実現するには、企業の活力を引き出さなければならない。そこで、競争力強化策として、革新的な医薬品の研究開発やインフラ輸出など高度な研究・技術に対する投資を後押しする。企業は、積極的な投資や事業展開を進め、収益の向上分を賃上げか雇用拡大につなげてもらいたい。政府も政労使会議などの場で、経営者団体に企業収益を家計に還元するよう、さらに促すべきである。
大企業に比べて、景気回復の実感が乏しい中小企業や小規模事業者の対策も充実させた。技術開発を助ける「ものづくり補助金」を大幅に拡充するほか、資金繰り支援策も盛り込んだ。
商店街活性化支援策や漁業コスト対策も地域経済の活性化に有効である。政府や自治体は、活用を幅広く呼び掛けてもらいたい。
政府は経済対策の効果として、25万人程度の雇用創出と実質GDP1%程度の押し上げの試算を示した。政府試算の達成には、事業内容の厳選と円滑な執行が欠かせない。
併せて、政府の成長戦略を具体化するための対策や規制緩和を速やかに実施すべきである。