e食品の虚偽表示
- 2013.12.12
- 情勢/解説
公明新聞:2013年12月12日(木)付
景品表示法の早期改正を
業界は自主的な改善策を実施せよ
政府は9日、ホテルや老舗旅館などで食品の虚偽表示が相次いでいることを受け、関係省庁会議を開き、表示の適正化に向けた対策を決定した。
公明党が先月、政府に要請した食品表示問題に対する緊急提言の内容が随所に反映されたことを評価したい。
対策のポイントの一つは、虚偽表示に対する国と地方の監視・指導体制を強化することだ。
外食の表示などを取り締まる景品表示法(景表法)を改正し、違反業者に対して、違反行為の撤回を求める措置命令の権限を都道府県にも認めることが注目される。
現在、措置命令は消費者庁だけに限られているが、消費者庁には地方の出先機関がなく、全国の飲食店などを直接、調査するには限界がある。地域社会の実態を調べやすい都道府県がこの権限を持てば、取り締まりの実効性が高まることが期待される。
また、食品の産地偽装などの調査を行う農林水産省の「食品表示Gメン」に景表法に基づく立ち入り検査権を与える。省庁の垣根を越えた対策だが、消費者を守るという目的は全く変わらない。しっかり取り組んでほしい。
二つ目は、食品表示を担当する管理責任者の設置を事業者に義務付けることだ。一連の事案では、メニュー作成担当と料理担当の両部署の意思疎通が欠けるなど、管理体制の不明確なケースが数多く報告された。責任者の下で管理体制を再構築すべきである。
三つ目は、主婦など消費者500人程度の「食品表示モニター」制度を創設し、食品表示を監視してもらう。外食のメニューなどの表示が不当と思われた場合、行政にスムーズに報告が届く態勢を敷いてもらいたい。
一方、関係業界に対して表示の適正化も求める。景表法は、実際より著しく高級に見せかける「優良誤認表示」を禁止しているが、違反の基準はあいまいといわれている。そこで、分かりやすく示すガイドライン(指針)を策定する。できるだけ具体的に表現してほしい。
今後の検討項目として、違法行為に厳しく対処するため、課徴金制度の導入検討が決まった。関係業界は消費者の目がそれほど厳しいことを厳粛に受け止め、定期的な講習会の開催など自主的な改善策を早急に実施するべきだ。
政府は適正化対策の決定を受け、景表法の改正など具体化に向けた作業を加速する必要がある。