e認知症で専門家チーム
- 2014.01.07
- 生活/生活情報
公明新聞:2014年1月7日(火)付
15年度から 症状悪化前に集中支援
厚労省
公明、包括ケア構築へ推進本部
厚生労働省は12月28日、初期段階の認知症高齢者の早期診断・早期対応を行うための専門家チームを、2015年度から順次、全市町村に設置する方針を固めた。
認知症は早期治療で改善する可能性が高いとされている。ところが従来の対策は、施設や精神科病院への入院が一般的だった。
そこで今回の支援チームは、高齢者の症状が悪化する前に集中的に支援することで、住み慣れた地域で暮らし、症状の安定化とともに、長期入院を防ぐのが狙いだ。
同省は14年度予算案に全国100カ所で専門家チームを設けるモデル事業や、認知症地域支援推進員の拡充などに33億円を盛り込んでおり、本格実施に向け課題や効果を検証する考えだ。
チームは、保健師、看護師、社会福祉士、介護福祉士などのほか、認知症治療の専門医で構成。地方自治体の医療・介護の拠点である地域包括支援センターなどに配置し、認知症高齢者の自立した生活に向けたサポートを行う。
高齢者に物忘れや行動の変化など、認知症と疑われる症状が見られる場合、チームが本人や家族からの相談に応じる。その後、自宅を訪問し、医療機関の受診や介護が必要かどうかを判断した上で、確実にサービスを受けられるよう、医療機関や介護事業者を紹介するなど、専門機関と調整を図る。
専門機関がサービスを開始した後も、チームの担当者が定期的に自宅を訪れ、症状の経過を確認。症状の見通しを説明したり、生活面での助言も行う。チームによる支援は最長で6カ月間。その後は近所のかかりつけ医やケアマネジャーに引き継ぐとしている。
認知症高齢者は年々増加しており、厚労省によると25年には470万人に達する見通しだ。同省では「少しでも生活の変化を感じた段階で、相談に来てもらえるよう広くPRする必要がある」と強調している。
公明党は09年に全国で「介護総点検」を実施。10万件に上る声を基に「新・介護公明ビジョン」を発表し、認知症高齢者向けグループホームの3倍増や、24時間365日の訪問介護サービスの拡充などを提案し、認知症対策を着実に前進させてきた。
また、昨年12月には桝屋敬悟衆院議員を本部長とする地域包括ケアシステム推進本部を設置。住み慣れた地域で医療や介護などのサービスを一体的に受けられる体制構築をめざし、地方議員にも呼び掛けて今月14日に初会合を開催する予定になっている。
【認知症とは】いろいろな原因で脳の細胞が死んだり、働きが悪くなったために、さまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態(およそ6カ月以上継続)を指す。認知症を引き起こす病気のうち、もっとも多いのは、脳の神経細胞がゆっくりと死んでいく「変性疾患」と呼ばれる病気。アルツハイマー病、前頭・側頭型認知症などがこの「変性疾患」に当たる。