e生活再建支援法 同一災害には同一補償を
- 2014.01.14
- 情勢/解説
公明新聞:2014年1月11日(土)付
被災者の立場で適用要件を見直せ
埼玉県は8日、自然災害で大きな被害を受けながらも、被災者生活再建支援法の適用を受けられない住民に対し、独自の救済策を4月から開始することを発表した。
支援法は、住宅が全壊した世帯などに最大300万円の支援金を支給する法律だ。適用要件は「10世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村」と定められている。
しかし、竜巻や集中豪雨などの自然災害は自治体の境界に関係なく起こる。そのため、同じ災害に遭っても住んでいる自治体によって、同法が適用される地域と、されない地域の違いが生じている。
例えば、昨年9月2日に埼玉県と千葉県を襲った竜巻被害では、埼玉県越谷市(全壊30棟)には支援法が適用されたが、隣接する同松伏町(同1棟)と千葉県野田市(同1棟)は対象にならなかった。当然、被災者から「不公平だ」「同じ災害には同じ補償を」などの声が上がり、松伏町や野田市は独自の救済策を実施した。
竜巻被害の教訓を踏まえ、埼玉県が8日に示した救済策は、支援法が適用されない場合でも全壊世帯などに最大300万円を支給する。住宅が全壊した被災者が民間賃貸住宅に入居する場合、最大で月6万円を1年間支給することも盛り込んだ。予算は年間約1億円とみられており、県と市町村で分担する。
埼玉県議会公明党も、議会質問などを通じて、独自の救済策の創設を求めていただけに、県の取り組みを評価したい。
支援法の矛盾を是正するために独自の救済策を実施している自治体は埼玉県以外にもある。内閣府によれば、支援法と同等の対策を設けている府県は、15(埼玉県は除く)に上る。
このため、内閣府の有識者検討会が昨年12月にまとめた提言は、全都道府県で支援法と同等の措置を講じることが適切だと指摘している。
ただし、近年は各地でさまざまな災害が頻発していることを考えると、対応を自治体任せにしたままでよいのだろうか。
実際、自治体からは支援法の適用要件の緩和を求める声が出ている。全国知事会は、自然災害が発生した場合に、全ての被災区域が支援対象となるよう国に見直しを要望している。
内閣府の有識者検討会は今後、支援法を含め被災者支援の在り方全般について見直し論議を進めていく予定である。あくまでも被災者の立場に立った検討を期待したい。