e犯罪被害者保護 権利の実質的保障進む

  • 2014.01.15
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年1月15日(水)付



裁判参加への旅費支給がスタート



犯罪被害者やその遺族、親族にとって、事件から立ち直るために必要な第一歩は、犯罪に関する事実を正確に知ることであるという。

被害者参加制度はそのために重要な役割を担っている。2008年12月に始まったこの制度は、犯罪被害者らが刑事裁判に参加し、加害者である被告人に対して直接質問することなどを認めている。

被告人への質問を検察官任せではなく、犯罪被害者自らが知りたいことを聞くことで「何が起きたのか」を明らかにする確かな手掛かりが得られる。しかし、裁判に参加するための旅費や宿泊料は自前であった。

昨年12月に施行された改正犯罪被害者保護法によって、ようやく被害者参加人に対する旅費等の支給制度がスタートし、被害者参加人の権利が実質的に保障されることになった。同法は犯罪被害者団体の切実な声を受け、公明党が積極的に推進して昨年6月に成立した。

「全国犯罪被害者の会(あすの会)」は、「法廷に出て自分の気持ちを述べたいと希望しても、事件により経済的に困窮を強いられていることが多い被害者が参加することに二の足を踏む場合もでてきます」(同会『ニューズレター』12年11月20日)と主張し、政府や国会に旅費等の支給実現を働き掛けてきた。

証人の場合、旅費、宿泊料、日当が支給されることを考えれば、同じ法廷で審理に貢献する被害者参加人に旅費等を支給することは、十分に国民の理解を得られる。

この支給制度により、旅費は居住地から裁判所の往復運賃(最も経済的な経路・交通手段で計算)が支払われ、宿泊料は定額(地域により1泊7800円または8700円)で支給される。日当は旅行に必要な日も含め1日当たり1700円が支給される。支払いの請求書は裁判所に提出し、支払い業務は日本司法支援センター(法テラス)が口座振り込みで行う。

公明党が主張し、04年12月に成立(05年4月施行)した犯罪被害者等基本法は日本の刑事裁判の姿を大きく変える契機になった。

刑事裁判については、社会秩序の維持と被告人(加害者)の権利保障が目的で、犯罪被害者のためではないとの最高裁判決(1990年)まであった。しかし、今では犯罪被害者の裁判参加は権利として確立するまでになった。

公明党はさらなる権利の拡大へ、犯罪被害者の経済的支援のための新たな補償制度の実現をめざす。

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