e規制の厳格化で顧客守れ
- 2014.01.20
- 情勢/解説
公明新聞:2014年1月20日(月)付
保険商品の再委託禁止
適切な販売体制の確立が必要
金融庁は先週、保険商品の販売に関する監督指針(ガイドライン)を改める方針を発表した。
保険業法は、保険会社や代理店が第三者に再委託して保険を販売することを禁じているが、この規定の厳格化を求める内容だ。2014年度中に改善状況の報告も求める。
実施されれば、再委託が行われてきた実態が是正され、保険商品の説明の充実につながる。不適切な販売を防ぐ効果を、大いに期待したい。
保険会社や代理店は保険業法上、販売責任を負うため、保険を個別に販売する使用人と雇用契約を結ばなければならない。しかし、規制緩和の流れを受けて01年、ガイドラインに明示されていた雇用要件が削除された経緯がある。
これにより、雇用関係はないものの、委託契約をしていることをもって使用人として届ける、「抜け道」が開けた形となった。
特に、複数の保険を手軽に比較、購入できると人気の「乗り合い型」代理店の一部に、社会保険料や人件費などのコストを抑えるため、フリーの「委託型募集人」に販売手数料のみを支払い、売り上げを確保するという「禁じ手」を使うところも出てきた。
この中には、第三者的立場で複数の保険内容を説明しつつ、手数料を稼ぐために、販売手数料の高い商品を優先的に顧客に紹介したり、商品説明を十分に行わないなどの不適切な販売を行っているとの指摘もある。顧客に不利益が生じる恐れがある。
こうした実態を踏まえ、同庁金融審議会のワーキンググループは昨年6月、「募集業務を行わせることが認められるのは、法令等に基づき使用人としてふさわしい教育・指導・管理等を受けているもののみであることを明確にする」との報告をまとめ、ようやく事態が適正化に向け動き出した。
今後、保険会社に対して、雇用関係、営業の実態などについて報告を求めるなど、「再委託」禁止を徹底させる考えだが、しっかりと目を光らせるべきだ。保険各社や代理店も、今まで以上に分かりやすい商品説明を心掛け、利便性の向上に尽力してもらいたい。
一方、この業界では「月々の保険料がこれだけ安くなる」などの広告が目立つ。ただ、保険商品の内容を客観的に比較・検証するルールが明確になっていないため、信頼性を欠く。
金融庁は、消費者保護の強化に向けて、ルール作りを急いでもらいたい。