e防災基本計画の修正

  • 2014.01.21
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年1月21日(火)付



災害弱者守る態勢整備を
自治体は名簿、避難勧告基準作り急げ



政府の中央防災会議は先週、国や自治体の防災対策の基礎となる防災基本計画を修正した。計画を実効性あるものにするためには今後、自治体の取り組みが重要になる。

今回の計画は、2013年に施行された改正災害対策基本法や大規模災害復興法、原子力災害対策指針の見直しを反映させたものである。災害時の被害を最小限に食い止め、迅速な復旧を進める減災の考え方を基に、大規模災害への対策強化を打ち出した。

計画は、13年10月に起きた伊豆大島(東京都大島町)の台風被害で、町役場が避難勧告を出さないまま住民が土石流災害に巻き込まれたことを踏まえ、市区町村が避難指示・勧告を出す基準を明確にするよう、あらためて求めた。

総務省消防庁によれば、土砂災害が想定される市区町村の約4割が、避難勧告などの具体的な発令基準を策定していない。このため、国は13年度中にも判断材料となるガイドラインを見直す方針だ。自治体は具体的な発令基準の策定を急いでほしい。

また、高齢者や障がい者ら災害弱者(災害時要援護者)の名簿を作成し、迅速な避難に活用することも盛り込んだ。東日本大震災で多くの高齢者が逃げ遅れた教訓を生かし、支援が必要な住民の氏名や住所、連絡先を名簿にまとめて町内会や民生委員などと共有し、避難時に役立てる。

これまで名簿作成は、法律で義務付けられておらず、13年4月時点で市区町村の3割弱が名簿を作っていない。

個人情報保護の観点から、要援護者本人が希望・同意しない限り名簿への登録を控える自治体も多い。

このため、改正災害対策基本法では今年4月から、市区町村に名簿作成を義務付ける。併せて、作成に必要な範囲内で、障害者手帳の交付を受けた人など関係機関が集めた個人情報を利用できるようにする。関係機関と緊密に連携し、対象者を正確に把握した名簿を作成してもらいたい。

ただ、名簿を作っても、災害時に活用できなければ元も子もない。市区町村が自治会や町内会での保管方法などを助言すべきではないか。

原子力災害対策では、自治体が原発周辺住民に甲状腺被ばくを低減する安定ヨウ素剤を事前配布すると明記。原発から半径30キロ圏を「原子力災害対策重点区域」とし、事故発生時に国が自治体に住民の避難場所や移動手段の確保を求めるなどの手順を定めた。

修正された防災基本計画を生かし、円滑に避難できる態勢づくりを急ぐべきである。

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