e賢明な外交戦略展開を
- 2014.01.29
- 政治/大阪
公明新聞:2014年1月29日(水)付
経済面で強い結び付き
日中福祉・農業技術交流機構で講演
伊佐進一衆院議員
公明党の伊佐進一国際局次長(衆院議員)は、24日に大阪市内で開かれた一般社団法人「日中福祉・農業技術交流機構」(小山雅章代表理事)の親睦会で、今後の日中関係について講演した。その要旨を紹介する。
2002年、中国共産党総書記に就任した胡錦濤氏は「平和的発展」を掲げ、ASEAN(東南アジア諸国連合)やロシア、中央アジア各国などとの関係改善に努めた。09年に発足した米国のオバマ政権もこうした中国の動きを歓迎し、大きな期待を寄せた。
ところが、09年末から10年にかけて中国は外交路線を転換させた。南シナ海に「核心的利益」という概念を持ち出し、ASEAN諸国と緊張が高まった。日本との間では、尖閣諸島をめぐる問題において、中国側が日本への挑発的とも取れる行為を繰り返しているが、日本が中国に対抗して挑発的な行動を取ることは避けなければならない。中国政府内には強硬派もいれば、協調派もいる。われわれはこのことを踏まえ、賢明な外交戦略を展開する必要がある。
一方、経済面では、日中の結び付きは依然強い。中国への対外投資では日本が第1位である。中国は日本を抜いて世界第2位の経済大国となり、年7%超の経済成長を続けている。また、有人宇宙飛行や独自の宇宙ステーション開発など科学技術分野での発展が目覚ましく、日本にとっても大きなビジネスチャンスとなろう。
「中国経済のバブルがはじけるのでは」との懸念が指摘されているが、私見を述べたい。まず、中国の銀行は自己資本比率が高く、潤沢な資金力がある。また、政府と地方を合わせた債務残高はGDP(国内総生産)比で約60%にとどまっている。もし仮にバブルがはじけても政府や金融機関で負債を吸収できると考えられる。
日中両国はこれからも重要なパートナーであることに変わりはない。良い時も悪い時も、水が流れるがごとく交流を続けていくことが大切である。
【伊佐進一氏】東京大学工学部卒業後、科学技術庁(現・文部科学省)に入庁。在中国大使館一等書記官などを経て、12年衆院選で初当選。