e地域防災力の強化を

  • 2014.01.29
  • 情勢/社会
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公明新聞:2014年1月29日(水)付



団員の減少に歯止め
処遇改善など 自治体の取り組み後押し
退職報償金をアップ、装備、訓練の充実に予算
消防団支援法



近年、局地的な豪雨や台風などの自然災害が頻発し、地域防災力の強化が喫緊の課題となる中、消防団の重要性があらためて注目を集めている。

消防団は、消防署と共に火災や災害への対応などを行う消防組織法に基づいた組織だ。全ての自治体に設置されており、団員は非常勤特別職の地方公務員として、条例により年額報酬や出動手当などが支給されている。火災や災害の発生時には、いち早く自宅や職場から現場に駆け付け、対応に当たる"地域防災の要"だ。

特に、東日本大震災では、団員自らが被災者であるにもかかわらず、救援活動に身を投じ、大きな役割を発揮した。その一方で、住民の避難誘導や水門の閉鎖などで198人が殉職し、命懸けの職務であることが全国的に知られた。

しかし、その実態は厳しい。全国的に団員数の減少が顕著になっており、1965年に130万人以上いた団員は、2012年には約87万人に落ち込んでいる。その背景には高齢化に加えて、サラリーマンが多くなり、緊急時や訓練の際に駆け付けにくい事情も団員減の要因とされる。

震災被災地のある団員は「地元を守るという使命感とボランティア精神でなんとかやっているが、現場の実情は本当に厳しい」と胸の内を明かす。

こうした事態を受け、昨年12月に消防団を支援する「地域防災力充実強化法」(消防団支援法)が成立、施行された。同法は、消防団を「将来にわたり地域防災力の中核として欠くことのできない代替性のない存在」と定義し、消防団の抜本的な強化を国や自治体に求め、団員の処遇改善や、装備品、訓練の充実に向けた予算が確保された【表参照】。

具体的には、階級や在籍年数に応じて設けられている退職報償金は、全階級で一律に5万円を上乗せするほか、報酬・出勤手当の引き上げについて各自治体に条例改正を強く求めているのが特徴。さらに、自治体職員の入団は、これまで自治体の裁量に委ねられてきたが、職務に支障がない限り認めるよう義務付けた。

団員の減少に歯止めをかけようと、全国の自治体では、高校生への一日体験入団や、団員OBに再入団を促すなどの事例も見られる。支援法の成立で消防団の在り方が見直され、各地域で防災力強化に向けた取り組みが一層進むことが期待されている。



備えの議論再考の機に



党総務部会長 桝屋 敬悟 衆院議員


東日本大震災以降、防災力強化の必要性はずっと言われ続けてきました。今回、地域防災の中核として消防団が位置付けられたことで、あらためて各自治体が消防団を軸とした防災体制の整備に取り組む好機です。

団員の減少・高齢化は深刻な問題です。地域コミュニティーに不可欠な存在である消防団の取り組みが広く認知され、公務員や大学生、一般企業の方々にも地域防災力の担い手として、ぜひ参画していただきたいと思います。

公明党は震災での現場対応を通して、地域防災の重要性を痛感していたことから、消防団の処遇改善も含めた法律の成立へ、自民党と連携し与党として推進してきました。

今後は、地方議会を舞台に議論を深め、地域の実情に即した処遇改善に向けた条例改正などに取り組み、現場の声をもとにさらなる充実に全力を挙げていきます。

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