e超高齢社会を生きる<2>期待のケア付き住宅

  • 2014.02.03
  • 情勢/解説
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公明新聞:2014年2月1日(土)付



安心で、ぐっすり眠れる
多彩な介護・看護サービス
さらなる整備・拡充へ



先月24日、群馬県前橋市内にある住宅型のサービス付き有料老人ホームに移り住んだ新田春江さん(仮名=76歳)。昨年9月に自宅のベッドから転落して大腿骨を骨折、「要介護3」の車イス生活になったからだ。

バリアフリー化された居住空間や定期的な見守り、介護サービスがあれば、一人でも安心して暮らせると考えたという。

新田さんは、長男家族と2世帯住宅で暮らしていたが、車イス生活を考えて転居を決めた。

「病院に比べれば一人になれて、ぐっすり眠れる」と気丈に語る。しかし、高い"家賃"にギリギリの生活だ。新田さんの年金は月額12万4000円。施設利用料は見守りや介助などのサービスと食費込みで月額約10万円。これに介護保険サービスの自己負担分が上乗せされると手元にお金はほとんど残らない。

「比較的費用の安い特別養護老人ホームへの入所も考えたが、5~6年待つと言われた」。8カ所の施設を見て回って選んだ新田さんの長男は、費用面は苦しいが、手厚いサービスに期待を寄せる。



一方、前橋市の隣、同県高崎市に住む伊藤京子さん(仮名=48歳)は、一人暮らしの認知症の実母(78歳)の介護に疲れ果てている。

当初は母の自宅で介護していたが、昨秋ごろから徘徊や意識消失など認知症の症状が悪化。1年間で要介護1から4になり、介護も限界に。

「母の年金は月額で約9万円。サービス付き住宅をどう探せばよいのか分からない」と伊藤さんの悩みは深い。



前橋市内で人気を集めているサービス付きの高齢者向け住宅がある。群馬県住宅供給公社が建設し、民間業者が運営する3階建ての「元総社公社賃貸住宅」だ。

1階は保育所やデイケア施設。2、3階がサービス付き住宅(60戸)になっている。売りは、24時間定期巡回・随時対応型の訪問介護・看護サービスだ。24時間対応のため、30人のスタッフで運営している。

運営会社の株式会社エムダブルエス日高の五十嵐政雄さんは、「24時間対応でも料金は定額制で、利用者には好評です」と笑顔で語る。

政府は、公明党の主張に沿って、サービス付き高齢者住宅を2020年までに60万戸整備する計画だ。

ただ、課題もある。慢性的な看護師や介護福祉士などの人材不足から、スタッフの確保は難しい。

より低価格で質の高い訪問介護や看護サービスが受けられる仕組みづくりが求められている。国や自治体、民間が一体となった努力が欠かせない。

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