e子どもの難病対策 患者と家族支える体制を

  • 2014.02.03
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年2月3日(月)付



地域社会の手厚い支援が不可欠



難病対策が大幅に前進する。社会保障と税の一体改革によって増える財源を生かし、対象となる病気の数を56から約300に、医療費助成を受ける対象者を78万人から150万人程度に増やす。

子どもの難病についても、これまで対象ではなかった約5万人が新しく助成される見通しだ。

政府は今国会に関連法案を提出し、2015年1月から新制度をスタートさせる方針である。法案を速やかに成立させ、実施を急いでもらいたい。

医療費助成の拡充は、支援策の充実を訴えた公明党の提言を大きく反映しており、「患者団体の理解も得られるものとなった」(江田康幸・公明党難病対策推進本部長)。

ただ、難病対策は医療費だけが課題ではない。特に、子どもの場合、家庭や学校生活などで、さまざまな悩みがある。病児と家族を支える体制づくりも手厚くしなければならない。

例えば、入院して通学できなくなった場合、授業の遅れをどう取り戻すのか。復学後、クラスメートたちとスムーズに学校生活を送ることができるのか。心配は尽きない。病児に課外授業を行う場合の配慮も考えなければならない。

また、自宅から遠い医療機関に入院する子どももいる。家族が子どもに会いに行く間、自宅に残された兄弟や姉妹が幼い場合、何らかの支援が必要になるだろう。

難病に苦しむ子どもたちの多くは、成人期を迎えると公費助成を打ち切られている。成人後も必要な支援が受けられるよう、検討しなければならない。あわせて、成人後の自立に向けた就労支援の充実も重要である。

現在、自治体には難病の患者や家族の相談を受ける窓口が設置されているが、これだけでは十分な対策を期待できない。厚生労働省は、難病の子どもが治療を続けながら日常生活を支障なく送れるよう、支援策を話し合う地域支援協議会を都道府県や政令市、中核市に設置する方針だ。

協議会は、自治体や医療機関、教育機関、患者や家族などで構成される。さまざまな視点から議論して、有効な対策を考えてほしい。そのためには、患者本人や家族によって異なる悩み、要望をしっかり把握してもらいたい。

難病対策は総合的な取り組みが求められる。就労・生活支援のほかにも、医療提供体制の整備や研究・治療法開発の強化などを着実に進め、社会全体で支える体制づくりを急がなければならない。

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