eRB新議長就任 円滑な金融正常化を探れ
- 2014.02.06
- 情勢/解説
公明新聞:2014年2月6日(木)付
国際協調と冷静な判断力が必要
荒波が待ち受ける船出になった。
米連邦準備制度理事会(FRB)の第15代議長にイエレン氏が就任した。100年余の歴史を誇るFRB史上初の女性議長で、任期は4年間となる。
イエレン氏は中央銀行の実務経験が長く、市場の信頼も厚い。経済の分析力にも定評がある。
早速、来週には半期に1度の上下両院の議会証言で、金融政策について説明する。どのような考えを表明するか、公の場での初めての発言が注目されている。
バーナンキ前議長が進めてきた量的緩和の縮小を引き継ぐとみられているが、異例の金融政策を正常化に導く「出口戦略」の手腕が問われる。量的緩和に終止符を打ち、「リーマン・ショック」以降、市場に大量に流れたマネーを徐々に吸い上げていくのは容易ではない。
米国の量的緩和を背景に、1月下旬から強まった新興国からの投資マネー流出は、国際金融市場を揺らし続けている。通貨安に苦しむ新興国だけでなく、主要国でも市場の混乱は短期間で収まりそうにない。
FRBが緩和縮小を決めたのは、米国経済が堅調だと判断したからだが、先行きは必ずしも楽観できない。今年最大の下げ幅を記録した4日の東京株式市場の株価下落は、米国の製造業の景況感を示す指数や新車販売台数が予想を下回ったあおりを受けたものだった。
今後、米国経済の回復が鈍るようだと、緩和縮小のペースを減速せざるを得なくなり、かじ取りの難しさは一段と増す。国内外の実体経済や市場の動向に対して、冷静な判断力が求められる。
イエレン氏は、22、23日に豪州で開催される20カ国・地域の財務相・中央銀行総裁会議(G20)に出席する見通しだ。米国の金融政策と新興国市場の問題が、主要テーマの一つになるもようである。
国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は今週、「自国の政策が他国に影響する可能性に配慮すべき」と講演、各国の金融当局に緊密な連携を促した。国際会議のデビュー戦となるG20で、米国批判を抑えつつ、各国との協調強化を打ち出せるか、が問われそうだ。
明るい指標が増えている日本経済だが、世界市場の余波は避けられない。今年度補正予算案や来年度予算案の早期成立・執行に加え、民間企業の活力を引き出す政策を着実に進めなければならない。