e農政の新基本計画 攻めの農業実現を期待
- 2014.02.07
- 情勢/解説
公明新聞:2014年2月7日(金)付
6次産業化の推進へ議論深めよ
農政の中長期的な指針となる「食料・農業・農村基本計画」の見直しに向けた議論が、農林水産省の審議会で先週からスタートした。
基本計画は、向こう10年の農業政策の方向を示すもので、約5年ごとに見直される。現行計画は2010年に策定された。今後、1年程度の議論を経て、来年3月ごろに新たな計画案が取りまとめられる。
農業をめぐる課題への対応は待ったなしだ。農業を主な仕事としている人は178万人(12年)に上るが、年齢別に見ると65歳以上が6割を占め、40代以下は全体の10%にすぎない。後継者不足などを原因とする耕作放棄地の増加は歯止めがかかっていない。
担い手の育成や競争力の強化など、農業再生につながる将来像が求められている。
政府は昨年12月、農林水産業分野の成長戦略である「農林水産業・地域の活力創造プラン」を発表した。
同プランには、農業・農村の所得倍増をはじめ、公明党が重点政策として訴えてきた農地集積や耕作放棄地の解消の政策などが数多く盛り込まれている。
審議会には、同プランの方向性を踏まえつつ、「攻めの農業」の実現へ、具体的な道筋を示す議論を望みたい。
特に、生産者が加工や販売まで手掛ける「6次産業(1次、2次、3次産業を足す意味)」は、雇用の創出や収入の安定、若者の就農促進といった多くの効果が期待できる。
例えば、過疎化と高齢化が進む離島にあって、地元産の柑橘類などでジャムを加工し、全国への販売に成功を収めている地域もある。他業種との連携で、農産品を原料とした化粧品を開発したケースもある。こうした6次産業化の取り組みを着実に推進していきたい。
また、基本計画の見直しでは、国内で消費される食料を国産でどの程度賄えているかを示す「食料自給率」の目標設定も議論される。
現行計画は20年度の目標を50%としているが、実際の自給率は39%(12年度、カロリーベース)と低迷し、大きな開きがある。小麦や大豆、家畜の飼料の多くを輸入に頼っているのが原因だ。
一方、国内の農地や農業技術などを加味した食料の潜在的な供給能力を示す「食料自給力」の考え方が注目されている。食料自給率に加えて、議論できないだろうか。
食料の安定的な確保は国の重要な責務だ。新目標の設定に当たっては、幅広い観点から検討を重ねてほしい。