eオバマ大統領の来日 日米関係の包括的強化を

  • 2014.02.17
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年2月17日(月)付



両国連携が東アジアの平和に貢献



米ホワイトハウスが、オバマ大統領の4月下旬訪日を正式に発表した。2010年11月以来となる3回目の来日、政権2期目では初めてだ。

日本のほか、韓国、マレーシア、フィリピンの順でアジアを歴訪する。目的は、アジア太平洋地域への外交、経済、安全保障面での関与強化である。

昨年10月に予定していた歴訪は、米政府機関の一部閉鎖の動きによって中止になった。オバマ政権が掲げるアジア重視政策を疑問視する声が広がる中での歴訪の決定だ。米国のアジアに対する意気込みを、あらためて示すものであり歓迎したい。

オバマ大統領の滞在は、1泊2日で調整中と伝えられている。大統領は、09年に来日した際の記者会見で「広島と長崎を将来、訪れることができたら非常に名誉なことだ」と表明している。公明党の山口那津男代表も昨年9月の訪米時に、大統領の被爆地への訪問を米政府に要請した。過密な滞在日程ではあるが、被爆地への訪問を何とか実現してもらいたい。

大統領が訪れる地域の環境は、急速に変化している。中国が沖縄県の尖閣諸島を含む東シナ海上空に防空識別圏を設定、不測の事態が起きないか懸念されている。核開発を進める北朝鮮の情勢も緊迫の度を増す。

日米両国による強固で安定した関係の構築は、この地域の平和と繁栄に貢献することは間違いない。両政府は、自衛隊と米軍の役割分担を定める日米防衛協力指針(ガイドライン)の年内改定も控えており、首脳会談で実のある論議を行い、パートナーの結束ぶりを国際社会にアピールする機会にしてもらいたい。

順調だった新興国の経済不安もあり、世界で保護主義が台頭する兆しもある。自由貿易体制を主導する日米両国だからこそ、手詰まり状態にある環太平洋連携協定(TPP)交渉を早期妥結に導くことも必要である。

世界経済が注目する中、両国で実施されている量的金融緩和についても緊密に連携すべきだ。両国の景気浮揚を順調に進めつつ、世界経済の動揺を最小限に抑えなければならない。経済史上で異例の取り組みであるだけに、適切な政策運営が欠かせない。

米政府は深刻な財政赤字に加え、米議会の「ねじれ」状態による政局混乱で、内向き志向を強めている。将来の日米関係に支障を来さないか。4月の来日までに両国首脳が胸襟を開いて議論できるよう入念な準備を進めてほしい。

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