e集約型のまちづくり 災害時の共助可能に

  • 2014.02.26
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年2月26日(水)付



自治体の財政負担軽減でも利点



関東甲信や東北を中心とする記録的な大雪の被害によって、住宅や学校、高齢者施設、行政機関など生活に必要な機能が一定の地域内に集約されたコンパクトシティーの考え方に関心が高まっている。

14日夜からの降雪では、10日以上が経過した今なお、一部地域で孤立が続き、除雪作業が懸命に進められている。また、過疎化や高齢化の影響で、雪下ろしをするための人手が不足していることも各地で指摘されている。

今回の大雪被害は収束に向かいつつあるが、近年、わが国では、集中豪雨や猛暑、豪雪といった極端な気象が増えてきつつある。万が一の事態に備えて、地域で支え合える仕組みの検討を進めていくべきだ。

また、地震への備えについても政府は先日、全国的な基本方針「大規模地震防災・減災対策大綱」を策定することを決めた。孤立の可能性がある集落では1週間程度の水や食料、医薬品の備蓄を進める方針だが、長期的な視点に立てば、孤立を防ぐまちづくりという視点を持つことが望ましい。

災害などの緊急時には「共助」の精神が重要になり、集約型のまちづくりは、人と人とのつながりを相対的に強め、こうした問題を解決するための一助となるだろう。

人口減少社会を見据えて計画されたコンパクトシティーには、環境や経済面で強みがある。

現在、多くの自治体は危機的な財政状況にあり、道路や上下水道などのインフラ(社会基盤)を維持・整備していく費用は重くのしかかっている。集約化が進めば、こうした費用の削減につながり、財政面での持続可能性を高めるという利点がある。

実際に、東日本大震災の被災地では、復興計画の中にコンパクトシティーの概念を盛り込み、取り組みを進めている自治体もある。

また、都市機能をまちの中心部や、バス、鉄道の主要駅周辺に集約し、自動車を使わず、徒歩や公共交通機関などで主要施設間を移動できる環境を整えることができれば、二酸化炭素(CO2)の削減にもつながる。

長年住み慣れた地域住民にとって、地元を離れて暮らす決断をするのは簡単ではなく、課題も少なくはないが、災害が多く、人口減少社会を迎えた日本がめざすべき方向であることは間違いない。

地域住民の意思を尊重することを大前提に、バランスの取れた検討を進めていくべきだ。

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