e障がい者とスポーツ 練習場所や指導者が不足

  • 2014.02.27
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年2月27日(木)付



存分に汗を流せる環境つくれ



ロシアのソチで、来月7日からパラリンピックが開幕する。五輪に引き続き、日本選手の活躍に期待したい。

わが国は、スポーツ基本法の施行を受けて策定したスポーツ基本計画の中で年齢や性別、障がいなどを問わず、スポーツに参加できる環境の整備をうたっている。

来年度予算案には、パラリンピック選手の支援のために、パラリンピック選手用のナショナルトレーニングセンター新設に向けた調査費などが盛り込まれ、一定の対策は前進している。

しかし、欧米主要国に比べると、まだまだ見劣りするのではないだろうか。

例えば、障がい者が日常的に汗を流せる場所は十分に確保されていない。車いすや義足でスポーツをすると、床に傷が付くといった理由で体育館などの利用を断られるケースもあるという。これでは気軽にスポーツを楽しめない。

障がい者にスポーツを教える指導者の不足も指摘されている。日本障害者スポーツ協会が公認する「障害者スポーツ指導員」の登録者数は現在、約2万2000人だ。過去10年間、ほとんど変化していない。障がい者スポーツの裾野を広げるためには、施設の充実と指導者の育成は欠かせない。

行政組織の在り方にも疑問がある。都道府県の95.7%、市区町村の71.2%で、障がい者福祉・社会福祉の関連部署が、障がい者スポーツを担当している。なぜ、スポーツ担当部署が、関わらないのか。障がい者スポーツ振興のためには、自治体の機構も考える必要がある。

本格的にスポーツに打ち込む障がい者は、さらに多くの課題に直面している。2012年のロンドン・パラリンピック大会などに参加した日本選手らは、競技を継続する上での資金や練習場所、指導者の不足を指摘している。

欧米では、障がい者アスリートの支援に力を入れている。米国は、パラリンピック選手も五輪選手専用の強化拠点であるナショナルトレーニングセンターを利用できる。英国は、パラリンピックコーチ育成プログラムを実施し、指導者の育成に力を入れている。国の支援策が多くのメダル獲得につながっている。

だれもが健康のため、人生を楽しむためにスポーツで汗を流す。その中から明日のアスリートが生まれ、結果的にメダル獲得につながれば理想的だ。国や自治体は、より多くの障がい者がスポーツに親しめるよう支援策を進めてほしい。

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