e異常気象対策
- 2014.03.03
- 情勢/解説
公明新聞:2014年3月1日(土)付
住民と自治体の連携が重要
行政の情報収集・発信能力向上を
ここ数年、局地的な豪雨や大雪、竜巻など極端な気象の発生が増加している。こうした異常気象による被害を最小限に抑えるために、行政の情報収集と発信の能力を高めていかなければならない。
28日には、大雨や大雪の防災に役立つ日米の降水観測衛星を搭載したH2Aロケット23号機が鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。
降水観測衛星は「全地球降水観測(GPM)計画」の主衛星である。他の衛星からの情報と合わせ、地球全体の雨や雪の状況を約3時間でつかむ。観測が難しい雨量の少ない雨や雪の把握もでき、台風や集中豪雨の立体構造も分かるという。データは半年後から世界に公開される予定である。集中豪雨や大雪などの防災対策にしっかりと結び付けてもらいたい。
政府は来年度以降、竜巻の発生情報収集にあたり、インターネット上の交流サイトであるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の活用を検討する方針だ。効果的な活用方法を進めてほしい。
災害時におけるSNSの活用について、印象的だったのが、長野県内のある首長の取り組みだ。
2月の記録的な大雪に見舞われた際に、写真などの画像付きで140字の短文を投稿できる情報サービス「ツイッター」を活用。住民から雪の状態を写した画像の提供を募り、住民一人一人の要望に丁寧に応対。情報を分析して関係部署に指示した内容についても、ツイッターで住民に報告した。さらに、渋滞の一因となっていた路上駐車の車の移動を呼び掛けたり、自衛隊の出動時間も伝えた。この対応について、住民から高い評価と感謝の声が寄せられたそうだ。
竜巻なども含め、異常気象が発生した際に現場の状況を最初に知るのは、そこに居合わせた人々だ。異常な天候や災害の発生に対して、的確で機敏な対応をするためには、行政から住民への一方通行の情報だけではなく、住民からの発信を積極的に活用すれば、より効果的だ。行政機関に、そうした発想の転換を求めたい。
災害などの緊急時、ネット上には多くの情報が飛び交うが、公的機関の情報発信は住民の混乱と不安の解消に大いに役立つ。SNSを活用した災害情報の収集と情報発信では、既に現場の動きが先行しているが、大規模災害に備えて、積極的に取り組むべきである。