eなでしこ銘柄 女性活用で硬直化打破を

  • 2014.03.12
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年3月12日(水)付



多様性育み経済再生進めよ



女性人材の活用を積極的に進めるため、経済産業省と東京証券取引所は共同で、上場企業26社を「なでしこ銘柄」に選定し、先週公表した。

33業種の中から、女性のキャリア支援と仕事・家庭の両立支援の側面からスコアリング(点数化)し、財務面も考慮に入れ、1回目の昨年より9社多い26社を選んだ。総合職の新卒採用のうち20%を女性とする目標設定をしているガラス会社や、多種の人材を活用するダイバーシティ(多様性)を経営戦略に位置付ける自動車会社など7社は、2年連続の選定となった。

昨年6月の日本再興戦略で政府は、2020年に女性の就業率73%の達成に向け、待機児童対策や女性の活躍を促進する企業の取り組みを後押しし、女性の力を最大限に生かす方針を示したが、これはその一環だ。公明党の山口代表は、なでしこ銘柄について「女性の企業内での処遇を改善、高めることでワーク・ライフ・バランスを充実させようという極めていい取り組みだ」と高く評価した。

先進国の中で、日本企業の役員・管理職に占める女性比率は、残念ながら最低レベルだ。フランスやノルウェー、オランダなどは、上場企業に対して取締役会に30~40%の女性比率を課している。イギリスでも、主要100社に15年までに取締役会の女性比率25%の達成目標を課しているのに比べ、日本の取締役会における女性比率は約1%に過ぎない。

経済産業省によると、女性取締役がいる東証1部上場企業の業績は、東証株価指数を常に上回り、リーマンショック以降の株価低迷の中で下落幅も小さいという。女性管理職比率が高い、または結婚・出産などの離職者の再雇用制度を持つ企業も、それ以外の企業と比べて利益率が髙い傾向にある。多様な人材を生かすことは、環境変化への適応力を育むことにつながる。

家計支出のうち、妻が意思決定する割合は日本が74%、世界でも64%を占める。グローバル市場でも、女性顧客の動向をどうつかむかが、企業の浮沈を左右する時代に入っている。経済社会における女性の参画が進んでいる国ほど競争力、所得が上昇する傾向にあるのもうなずける。

世界経済フォーラムが昨年発表した「ジェンダー・ギャップ指数」(男女格差比較)で、日本は136カ国中、105位。これでは日本経済の再興は難しい。硬直・画一化した男性中心の産業構造から、女性が存分に活躍できる社会への転換が急がれる。

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