e核サミット 日本は核テロ阻止の先頭に
- 2014.03.24
- 情勢/解説
公明新聞:2014年3月22日(土)付
被爆国として必要な核廃絶の訴え
核物質の適正管理や原子力施設の安全確保をテーマにする第3回「核セキュリティ・サミット」が、24日からオランダのハーグで始まる。
サミットの目的は核テロの阻止だ。原子力エネルギーを利用する国々の核セキュリティ(核の安全確保)の取り組み強化が議論される。
日本は、核物質がどこの施設で作られたかを調べる際に必要な核鑑識の技術など、核セキュリティに欠かせない高度な技術を持っている。
加えて、第1回サミットで、核セキュリティ強化のためのアジア総合支援センターの日本設置や、核物質の測定、検知などに関わる研究の実施など4項目の公約を表明、第2回サミットで全て達成し、報告した実績がある。今回のサミットでも、安全確保に向けた国際協力の先頭に立つ役割が求められる。
2009年4月、オバマ米大統領はプラハ演説で「核兵器のない世界」を訴えた。その際、オバマ大統領は核廃絶が必要な理由の一つとして核テロの危険性を挙げ、それを阻止する国際的取り組みを進めるため、翌10年にワシントンで第1回「核セキュリティ・サミット」を開催した。米国はこのサミットを「米国開催のサミットとして国連設立以来、最大のもの」と述べたほどで、核テロ阻止への強い決意を示した。
この決意と危機感を世界が共有すべきである。
国際原子力機関(IAEA)が想定する核テロは、核兵器そのものの強奪、盗んだ高濃縮ウランやプルトニウムを材料にした核爆発装置の製造、放射性物質をばらまくダーティー・ボム(汚い爆弾)の製造、原子力発電所などの破壊工作がある。国際社会のどこかに隙間やほころびがあれば、核テロは阻止できない。特に、核物質の管理強化は重要テーマである。
今回、日本原子力研究開発機構が研究用に保有する兵器転用可能なプルトニウムを米国に返還することで日米両首脳が合意する予定となっている。日本が率先してプルトニウム管理に協力する姿勢を示す意義は大きい。
同時に、唯一の被爆国として決して忘れてはならない視点がある。それは、核セキュリティと核廃絶は「対になる概念」(公明党核廃絶推進委員会座長・浜田昌良参院議員)であり、核廃絶の議論も同時に進める必要があるということだ。
第2回サミットに出席した野田首相(当時)は核廃絶に言及しなかった。真の目的を忘れてはならない。