e増税前の駆け込み消費 景気の失速を最小限に
- 2014.03.24
- 情勢/解説
公明新聞:2014年3月24日(月)付
機動的な政策対応で乗り切れ
2014年度予算が成立した。一般会計総額95兆8823億円と当初予算としては過去最大規模で、1999年と2000年に次いで、戦後3番目の早い成立となった。
自公政権による経済対策が功を奏し、デフレ脱却への軌道が見え始めた。東日本大震災からの本格復興や防災対策の充実が急がれる中、政策の停滞は許されない。先に成立した本年度補正予算と合わせ、必要な取り組みをさらに加速化するとの強い姿勢で、政府は切れ目ない執行を進めてもらいたい。
当面の大きな課題は、4月からの消費税増税だ。消費税の税率アップによって景気が腰折れしては、元も子もない。来年度予算や本年度の補正予算には、消費税増税後の消費の落ち込みをカバーする対策が盛り込まれているが過信は禁物だ。
内閣府は3月の月例経済報告で、日本経済の基調判断を先月と同じく「緩やかに回復している」に据え置いたが、「消費税引き上げに伴う駆け込み需要の反動が見込まれる」と先行きに警戒感をにじませた。
住宅分野では、住宅ローン減税の拡充措置が好感されたことと住宅価格の先高観から、マンションを中心に購入意欲は落ちていないとみられる。ただ、家電や自動車など耐久消費財の駆け込み需要の状況を分析すると、反動減は避けられない。
また、政労使協議の成果もあって、主要企業が賃上げに踏み切ったことで、景気への好循環が期待できる。しかし、地方や中小・小規模企業に波及するかどうか依然として楽観できない。
さらに、月例経済報告は、「海外景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスク」と海外情勢への懸念も指摘した。
クリミア半島を巡るウクライナ情勢は、混迷の度を増している。ロシアにエネルギーを依存している国も多いため、今後の情勢いかんでは世界経済に大きな影響を与える。新興国の通貨不安もまだくすぶっている。
安倍首相は予算成立後、消費増税による経済への悪影響を「最小限に抑え、できるだけ景気が回復軌道に戻るよう万全を期す」と述べた。経済の好循環の維持には、政府一丸となったきめ細かな対応が求められる。
消費税増税による反動減は極力抑え、景気を短期間で力強い回復軌道に戻したい。そのためには、機動的な政策対応で、景気への影響を乗り越えてもらいたい。