eおもてなし企業 顧客満足度が経営の理念

  • 2014.03.31
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年3月31日(月)付



需要つかみ独自サービス提供を



経済産業省は先週、顧客のニーズに合わせ、地域社会に密着した経営を進めている全国の28事業者を選び、2013年度の「おもてなし経営企業」として発表した。

12年度に続く2度目の選定で、同省が各社の活動を冊子にまとめて紹介する予定だ。おもてなし経営企業は、業種・業態を問わず全国に募集をかけ、応募のあった165事業者の中から有識者による選考委員会が選んだ。

選ばれた業種は、運送や医療、製造業など幅広い。おもてなし経営は、すでに市場として飽和している業界や、一見おもてなしとは、かけ離れているような業種においても、実践されている。

例えば、北海道のバス会社は、バス路線の沿線に住む世帯への訪問ヒアリングで拾いあげた声をヒントに、通勤や通院、買い物など利用者の目的に応じた時刻表の作成などを実施。乗客数の増加に成功し、増収に転じた。

福島市のガス会社は、高齢者らがガスを長時間使わない場合、家族にメールで連絡するサービスを実施するなど、積極的に地域の見守りに取り組んでいる。

神戸市でブライダル関連事業を展開する会社は、経済的な問題や家庭の事情などで挙式を諦めていた人のために、低価格の「小さな結婚式」を提供している。

いずれも、その地域に根差した独自のアイデアが光る。地域のビジネスモデルの一つとして多くの事業者は参考にしてほしい。

生活に必要な商品がすでに広く行き渡っている現代の日本で今後、需要拡大のけん引役として期待されるのがサービス産業だ。

サービス産業は、我が国の国内総生産(GDP)の約7割を占め、労働者全体の8割程度の人がサービス産業で働いている。しかも、GDPも雇用も、その割合は増加傾向にある。

ただ、サービス産業は製造業などのように機械システムを導入して商品を生産するわけにはいかず、生産性は低い。

サービス産業の担い手は中小企業や個人事業主が多いため、商品の低価格化だけで売り上げを競う経営手法には限界がある。顧客満足度を高めたり、需要を的確につかんで新サービスを提供することで活路を切り開くしかない。

今回選ばれたおもてなし経営は、独自の付加価値が地域や顧客に評価され、成果を挙げた好事例ともいえる。こうした着想を自社の経営改革に生かし、地域活性化の原動力になってもらいたい。

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