e民法改正 「契約」の現代化めざす

  • 2014.04.07
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年4月7日(月)付



120年前の制度見直し世界標準へ



市民生活の基本を定める民法の中で、特に契約に関わる債権法の大改正をめざす議論が大詰めを迎えている。

公明党は先月、「国民の視点に立った民法(債権法)改正に関するプロジェクトチーム(PT=座長・大口善徳衆院議員)」を設置し、党内論議の体制を整えた。

契約は国民の日常生活や経済活動に関わりの深い法制度である。分かりやすく、使いやすい国民本位の契約法にする必要がある。

民法は約120年前の明治29年(1896年)に制定されており、社会・経済の大きな変化にさらされてきた。

民法は、市民と市民が"対等"な立場で"自由"に契約を結ぶことができる社会を前提としている。しかし、現代社会では、企業と消費者、会社と従業員が、売買契約や雇用契約を"対等・自由"に結ぶことは難しい。

消費者の商品知識は限られるので、企業が設定した値段や条件で商品・サービスを購入するしかない。従業員も就労条件の変更を会社に要求しにくい。こうした弱い立場の人を契約法の中で、どう守るかなど課題は多い。

2009年に法相は社会・経済の変化に対応し、分かりやすい民法にすることを目的に、契約法を中心にした債権法関係の見直しを法制審議会に諮問した。11年4月の「論点整理」、13年2月の「中間試案」公表と進み、現在は今年7月末に予定される「要綱仮案」の取りまとめに入っている。政府は来年の通常国会への改正案提出をめざす。

民法は04年に条文が「文語カタカナ」から「口語ひらがな」に現代化されたが、国民が読んでも容易に理解できない。膨大な判例と学説の知識がなければ手に負えない。

欧米の主要国では「民法は市民社会全般を支える法的インフラ(社会基盤)」と位置付けられている。法律家にしか読めない民法ではインフラとは言い難い。ここに「国民の視点に立った民法改正」が要請される理由がある。

グローバル化の進展に連れて、国境を越えた市民同士の交流も増えている。その中で法律紛争が起きた場合、複雑な解釈が必要な今の日本の契約法では、外国人にとって"対等・自由"な契約を妨げる障壁に映ってしまう。

また、契約法は世界的に共通化しつつある。今回の民法改正論議で、日本から世界標準にふさわしい契約法の在り方が提起され、国際社会に受け入れられるようになれば、法的インフラ構築の分野での大きな国際貢献になる。

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