e食物アレルギー 学校給食の対策は万全か

  • 2014.04.09
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年4月9日(水)付



国の指針踏まえ、きめ細かい対応を



学校給食でのアレルギー事故をどう防ぐか。一昨年、東京都調布市で起きた女児死亡事故を受け、再発防止策を議論してきた文部科学省の有識者会議が先月、最終報告をまとめた。同会議は公明党の強い要請で設置されたものだ。

教育委員会や学校など関係機関は、事故防止に向けた対応を強化してほしい。

最終報告では、現状の問題点として、学校給食における食物アレルギーの対応などを示した国の「ガイドライン」(指針)に基づく、きめ細かい具体策が行われていないと指摘している。

学校現場では医師の診断書を添えず、保護者からの申告だけで対応しているケースが多い現状や、栄養教諭、養護教諭などに対応を任せ、学校全体での取り組みになっていないことも挙げている。

文科省は今年度、ガイドラインの内容を分かりやすくした資料の作成や講習会の拡充、研修用DVDの作成を進める方針だ。国や自治体は実効性のある研修を行えるよう支援してほしい。

アレルギー問題では子ども一人一人のアレルギー体質を正確に把握することが対策の第一歩だ。学校現場に対して、医師が診断結果や緊急時の対応などについて記した申告書「学校生活管理指導表」の提出を必須とし、学校全体での情報の共有を求めている。

正確な情報の共有が、児童・生徒を守るだけではなく、職員の不安や負担軽減にもつながるからだ。

食物アレルギー対応の目的は、事故を起こさないことである。誤ってアレルギー食材が混入することがないよう、献立の作成から配膳まで複数の職員でチェックすることなども提言している。国は給食提供時の留意事項などを示した指針を作成する予定だ。教育委員会も調理場の整備や栄養教諭の配置拡大など学校を支援するべきである。

ただ、学校給食には食の大切さなどを学ぶ「食育」の意義もある。アレルギーの有無にかかわらず、可能な限り同じ献立で食べられるよう工夫してもらいたい。

事故が起きた場合の備えも忘れてはいけない。誤食によるショック症状の発生などに備え、各自の役割分担を明確にした実践的なマニュアル整備と、ショック症状を緩和する自己注射薬「エピペン」を全教職員が扱えるための校内研修なども重要である。

新学期が始まって新入生も入り、教職員も入れ替わる。各学校は情報共有を徹底し、給食事故の防止策に取り組んでほしい。

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