e海外発のネット配信 消費税義務付けめざす
- 2014.04.10
- 情勢/解説
公明新聞:2014年4月10日(木)付
不公平な競争条件の是正は急務
ネット配信への課税の不平等解消は急務である。
海外からインターネットで日本の個人や事業者に配信(販売)される電子書籍や音楽、ゲーム、広告などについて消費税が非課税になっている問題で、政府税制調査会は、海外事業者に納税を義務付ける制度に見直し、2015年度の税制改正をめざして議論を進めていくことになった。
調査会の見直し案では、海外事業者は、電子書籍など個人向けでは消費税込みで配信し、日本国内の税務署に申告納税する。ネット広告など事業者向けでは、配信を受けた国内事業者が申告納税する仕組みを導入する。
消費税は現在、輸入品と国内取引が課税の対象で、国境を越える電子取引の場合、サービス供給地が国内の場合には課税されるが、国外の場合は課税されない。
このため、同一の電子書籍でも、国内発か海外発かで価格は異なる。例えば、国内のネット書店では消費税8%を含む1512円で配信されているものが、アメリカやカナダに拠点を置くネット書店では1400円になっている。
このままでは「消費税の空洞化」(大口善徳氏、衆院社会保障と税の一体改革に関する特別委員会=12年6月)を招く。「税の抜け穴」をふさぎ、内外格差を是正し公平な制度にするべきである。
昨年9月には、文字・活字文化推進機構や日本出版インフラセンター、日本書籍出版協会、日本雑誌協会など出版業界の9団体が、「公平な競争が阻害されている」として、「海外事業者のコンテンツに対する公平な消費課税に関する要望書」を政府税調などに提出した。消費税の税率アップもあり、国内の事業者の不公平感は高まっている。
海外から配信される電子書籍などにも消費税が課せられることは、価格の上昇になる。だが、現状を放置すれば、税収が失われるだけでなく、日本のネット産業の競争力低下や海外流出を招いてしまう。
経済のグローバル化に伴って、国境を越えて活動する大企業は節税に努め、先進国はその後を追って懸命に課税の道を探ろうとしている。欧州連合(EU)でも、15年から、域内、域外を問わず、電子的手段により提供されるサービスへの付加価値税(日本の消費税に当たる)の課税は、サービス提供者の居住国ではなく、消費者の居住国となる。
政府には、海外の動向に目を凝らしながら、国内産業を守り雇用を維持するため、スピード感のある対応が求められている。