e独居高齢者の急増 変化迫られる社会システム
- 2014.04.15
- 情勢/解説
公明新聞:2014年4月15日(火)付
個人単位の制度設計など検討急げ
一人暮らしの高齢者が急増していく実態が、あらためて浮き彫りになった。
国立社会保障・人口問題研究所が11日発表した世帯数の将来推計によれば、2035年には、世帯主が65歳以上の高齢世帯に占める一人暮らしの割合が37.7%に上る。都道府県別にみると、山形県を除く46都道府県で30%以上となり、9都道府県では40%を上回る。一人暮らしの高齢者数が最も多い東京都では、35年には100万人を超えると推計されている。
今の日本は社会保障制度にしても税制にしても、夫婦と子ども2人で構成される家庭をモデルケースとした世帯単位の制度設計が中心となっている。高齢世帯の4割近くが一人暮らしになれば、現在の制度と懸け離れたものになる恐れが出てくる。
約20年先の問題とはいえ、改善策を進めるための時間が十分にあるわけではない。単独世帯の増加に耐えられるように、制度設計を世帯単位から個人単位に重点を移すことも含めて、対応を検討する必要があるのではないか。
例えば、医療・介護の分野では、一人暮らしの高齢者を地域で支える仕組みづくりを急がなければならない。家族がいない高齢者を全員、特別養護老人ホームなどの施設に受け入れるのは、物理的にも財政的にも不可能に近い。公明党が、医療や介護、生活支援などのサービスを一体的に受けられる地域包括ケアシステムの構築に力を入れているのは、このためだ。
施設に代わる受け皿としてサービス付き高齢者向け住宅の普及を進めるとともに、住み慣れた家での生活を望む高齢者の見守りネットワークを整備する必要がある。
住まいの問題では、単身世帯向けの住宅需要が高まる一方で、ファミリー向け住宅の購入や利用は頭打ち傾向になるだろう。広い家屋に1人で住む高齢者に対しては、住み替え支援を強化するなどの対策が求められる。公共賃貸住宅は、一人暮らしでも安心して住めるためのサービスを新たに考えなければならない。
一人暮らしの高齢者が増える原因の一つは、未婚率の上昇である。結婚をしないまま高齢期を迎える人たちが今後、増加する事態にも備えなければならない。
税制や行政サービスの提供に当たっては、結婚の有無によって不均衡が生じない制度を構築していく必要がある。
世帯構成が大きく変わりつつある今、社会のシステムもソフト、ハード両面にわたる見直しが求められてい